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415kmレースのクレイジーなウラ側…“日本最速ランナー”土井陵は何を食べている?「カップラーメンもスイーツも食べない」「主食は柿の種です」

posted2022/11/05 17:06

 
415kmレースのクレイジーなウラ側…“日本最速ランナー”土井陵は何を食べている?「カップラーメンもスイーツも食べない」「主食は柿の種です」<Number Web> photograph by Sho Fujimaki

土砂降りの中、静岡の大浜海岸でゴールする土井陵。「4日17時間33分」という驚異的な大会新記録でTJAR初優勝した

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千葉弓子

千葉弓子Yumiko Chiba

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Sho Fujimaki

 日本一過酷と言われる山岳レース「トランス・ジャパンアルプス・レース(TJAR)」。富山県魚津の日本海から日本アルプスを縦断し、静岡市大浜海岸の太平洋に至る約415km(累積標高差約27,000m)の距離を、制限時間8日間で駆け抜けるエクストリームなレースだ。

 今年の夏、そのTJARで「4日17時間33分」という大会新記録で初優勝したのが土井陵(たかし)だ。剱岳や薬師岳を縦走する北アルプスを1日で越え、中央アルプスも1日で通過、多くの選手が歩きを織り交ぜるロード区間もほとんど走っていた。しばらくは更新されないと考えられていた「4日23時間52分」(望月将悟/2016年)という大会記録を6時間も縮めたのだ。

 その背景には、走力や山の経験値といったベースに加え、綿密な食料計画や睡眠の取り方があるようだった。自らを「ミニマリスト」と語る土井のスタート時の装備は水分を除いてわずか3.5kg。他の選手より圧倒的に軽い。たとえば必携装備のボールペンは芯だけ、熊鈴も小ぶりな豆くらいの大きさだ。そして目を引いたのが食料の圧倒的な少なさだ。

「選手は全員レインウエアやツェルト、防寒着など必要な装備は徹底的に軽量化しています。どこで重量に差が生まれるかと言えば食料なんです」

 それでも「決して必要量を減らしているわけではない」と強調する。では土井は415kmのレース中に、実際に何を食べ、どう眠ったのか。現代の飛脚とも呼べる驚異のランナーの秘密に「栄養補給」と「睡眠」の観点から迫った(全2回の1回目/#2へ)。

◆◆◆

「4日17時間33分」の行動食リスト公開

 ひとつ驚きの数字がある。土井が摂取したおおよそのカロリーと、レース時に身に着けていたGPS時計がゴール後に割り出した推定消費カロリーの差だ。

 実際に摂取したおおよそのカロリー=17,400kcal
 GPS時計が示した消費カロリー=33,355kcal

 一般的なランナーが必要とする(と時計が推測した)カロリーのほぼ半分で、日本海から太平洋まで走り切ったことになる。

 大阪市の消防士である土井はシミュレーションを念入りに行う性格。TJARは前回大会の経験(悪天候のため2日目で中止)や、これまで出場した100マイルレース、試走時のデータを重ねて、必要なカロリーや栄養素を導き出していた。土井は、いかに摂取カロリーを抑え、荷物を減らすことができたのだろう。

――今回のTJARではどんなことを意識して食料計画を練りましたか。

【次ページ】 「4日17時間33分」の行動食リスト公開

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