顔が豪快に取れるハプニングも発生…国立競技場に25体が集結“ゆるキャラリレー”の真の勝者は？「きょうが人前に出るのは最後」の衝撃告白も

危険な空気を纏うマッスル根岸は自ら喋りだした

　観客の視線はただ一点、7レーンのアンカーに注がれていた。完璧なアスリートボディに、顔だけ白い熊のぬいぐるみを被った謎のキャラクター。胸のゼッケンには「陸上界のミッキーマウス!!　マッスル根岸と申します!!」という手書きの文字が怪しく躍る。危険な空気を纏うこの男は、果たして何者なのか。

黄色いタンクトップ姿のマッスル根岸。ふわふわとしたゆるキャラに囲まれマッスルボディが一際目立つ　©Hirofumi Kamaya

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「陸上界を盛り上げようと思ってやってきました！　100mの自己ベストは10秒46です」

　白い熊の被り物の奥から、ちょっぴり早口な声が響いた。どうやら自ら喋るタイプのゆるキャラらしい。年の頃は30歳前後か。フワフワ、モコモコとしたゆるキャラのなかでただ一人、鍛え上げられた下腿三頭筋がひと際目立つ。

「えーズルい！」、「負けるわけないじゃんね～」。子どもたちの笑い声が響く。「チート」の文字が頭をよぎったが、当の本人に話を聞くとそこには、決して悪ふざけではない、熱すぎる陸上愛に彩られた前日譚があった。

「マッスル根岸」誕生秘話

「マッスル根岸」が誕生したのは、“中の人”が中央大学在学時のこと。一般入試で入学し、名門の陸上部に入部したものの、当時のベストタイムは100m11秒3。1学年上にはリオデジャネイロオリンピックの男子400mリレーで銀メダルを獲得した飯塚翔太が所属するというハイレベルな状況のなか大舞台には立てず、スタンドでの応援担当に任命された。

「体育会系の硬派な雰囲気のなかで、もっとみんなで楽しく応援できないかな、と思いついたのがこのキャラでした」

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