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「試合中に食べる・食べない」渋野日向子(23歳)と笹生優花(21歳)メジャーを制した2人の仲良しぶりと意外な“違い”とは?
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2022/10/18 11:04
米ツアーでは初めて同組でプレーした渋野日向子(左)と笹生優花。ラウンド中も笑顔が絶えなかった
12年前、父・正和さんはプロゴルファーになりたいという娘の夢を応援するため、フィリピンへ引っ越す決意をした。日本でゴルフするより経済的に助かるという理由が大きかった。
「プロの世界は厳しいんだから、プロになる努力を怠るなら日本に連れて帰るからね」と笹生家の父と娘は約束を交わした。
正和さんは、日々の出来事をノートにつけるよう娘に促した。どんな練習をしたか、ということだけにとどまらず、毎朝の体温と体重、朝・昼・晩に何を食べたかまでに至る。
「自分を律して、同じことをやり続けることでプロになれると思うんです。だから、ノートをつけることによって、練習内容の確認を含め、自分のやってることを意識するようになってほしかったのと、日々、記録することで、自身の体調管理ができるという2つの目的がありました。9歳の時に始めて、アマチュアの時はずっとやっていたと思いますよ」(正和さん)
「キャディに100%を求めていない」
練習後は毎日3時間ずつ英語の勉強も欠かさなかった。決して勉強が好きだったわけじゃない。ゴルフをやりたいから、投げ出すことはなかった。プロになった今でもその自主性は変わらず、自分のゲームは自分で組み立てる。
WOWOWの中継レポーターとして現地で取材する片平光紀(初代世界アマチュアランキング1位)は言う。
「笹生選手はキャディに100%を求めていないと思います。コーチもいない分、自分のゲームの組み立て方をすごく考えています。今大会の最終日で印象的だったのは3番パー4。2打目がグリーンの奥まで飛んでしまいました。3打目はウェッジで寄せることを考えたと思うんですね。ですが、同じような位置から同組のセリーヌ・ブティエ(フランス)が打ったら、ピンを越えて、かなりオーバーしてしまった。
笹生選手はそれを見届けてから、ウェッジからパターにすぐ持ち替え、ささっとラインを確認すると、3打目でピンに寄せて、ナイスパーセーブしました。柔軟な判断力とそれに対応できるだけの技術を持ってることがすごいなと感心しました」
9月上旬から今年初めに使っていたパターのシャフトを戻したことで、パットが安定するようになった。LPGAメディヒール選手権の最終日もパットがよく決まり、トップまで1打差に迫る14アンダーの単独2位、シーズンベストの順位でフィニッシュした。
「飛距離はあるし、グリーン周りの引き出しもある。いつでも優勝争いに絡んでくる実力が備わっています。パッティングも上向いてきたので、楽しみです」(片平)