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ボクシング界はメイウェザーvs.朝倉未来をどう見たのか?「避け方がぎこちなくなった」「あれがボクシングだと思われるのはつらい」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2022/09/29 17:02

ボクシング界はメイウェザーvs.朝倉未来をどう見たのか?「避け方がぎこちなくなった」「あれがボクシングだと思われるのはつらい」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

試合後のフロイド・メイウェザー・ジュニアと朝倉未来。さまざまな意味で話題を集めた一戦だったが、ボクシング界の反応は渋かった

 とはいえ、どう繕ってもあれはボクシング以外には見えない(レフェリーのケニー・ベイレスはボクシングのトップレフェリーだ)。前出のトレーナーが指摘するように、このエキシビションは“ボクシングなるもの”と認識されているのだ。だからこそボクシングを愛する者たちは「これがボクシングと思われたくない」「ボクシングが貶められている」と感じるのである。

メイウェザーの意識は「エンターテインメント」だが…

 ここで、メイウェザー本人の意識も押さえておきたい。来日後のインタビューでは「自分は引退している」と何度か明言し、このエキシビションを常に「エンターテインメント」と口にしていた。彼の中でこれは「試合ではない」という認識なのだ。ところが日本のファンやメディアはそうは思ってくれない。そこにギャップが生まれる。

 観戦歴40年に及ぶ50代のボクシングマニアは次のように分析した。

「エンタメとアピールしても、日本ではどうしても勝負論が持ち込まれてしまう。そうしないと楽しめない、楽しみにくい、ということでしょう。だからメイウェザーと、日本のファンなりメディアなりとの間には、かなりの温度差があると感じます」

 コメントを紹介したのは数人にすぎないが、私の肌感覚からすると、似たようにマイナスの感情を抱いているボクシング関係者が多いように思う。ボクシングとともに生きてきたメイウェザーにとっても、決して愉快な話ではないだろう。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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