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里見香奈女流五冠「初の女性棋士」条件は“残り3戦で3勝”… なぜ将棋界は「四段昇段=プロ認定」なのか〈田丸昇九段が解説〉
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph byKyodo News
posted2022/09/29 11:02
「プロ編入試験」第2局に敗れた里見香奈女流五冠
里見女流五冠は、囲碁棋士の藤沢里奈女流二冠・五段(24)とは、同じ勝負の世界に生きる者として共感を覚えて交流している。互いの就位式で花束を贈ったり、メディアの企画で対談した。
里見女流五冠は囲碁の藤沢女流二冠に刺激を受けている
里見は、藤沢が男女に関係ない公式戦で活躍していることが、自身への刺激になっているという。また、「自分が勝つことによって道は切り開かれ、後から続く人が出てくる」という藤沢の言葉は、女流棋界の現状に通じるものがあった。
囲碁界では、「大三冠」と呼ばれる名人戦(9人)、棋聖戦(6人)、本因坊戦(8人)の各リーグ戦に入ることを、「黄金の椅子」に座ると形容する。それが超一流棋士の証しとなっている。
藤沢女流二冠をはじめトップの女性棋士たちは、その難関に挑んできたが、リーグ入りを目前に敗れたりして、まだ実現していない。藤沢が前記のリーグ戦に入りたい本意は、「トップ棋士と各5時間の持ち時間で対局できるのは夢のような空間」という思いからだという。
里見がプロ編入試験に挑んでいるのも、「プロ棋士となって、もっと強い方たちと対局したい」という思いからだという。
藤沢や里見にとって、女性として「ガラス」を突き破るのは容易ではないが、先駆者になれるように頑張ってほしい。
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