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「お手本はユヅ」4アクセルを世界初成功、マリニン17歳が“試合直後に語った”快挙の舞台裏「僕は完璧主義」《独占インタビュー》
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2022/09/15 19:00
公式試合で4回転アクセルを世界初成功させた米国の17歳イリア・マリニン。その試合直後、本人に独占インタビューを行った
マリニン「ユヅが憧れの選手だった」
4アクセルの練習を始めたのは、羽生結弦の北京オリンピックでの挑戦に刺激を受けたためなのだろうか。
「もちろん、ユヅには大きなインスピレーションを与えてもらいました」とマリニン。
「4アクセルに挑戦した選手は、これまでもアルトゥール・ディミトリエフなど何人かいました。でもユヅほど成功に近づいた選手はいなかった。ぼくは彼が世界で初めて成功させた選手になったら良いなと思って、応援していたんです」
もともとマリニンにとって、羽生は憧れの選手だったのだという。
「子供の頃から、ユヅのようなスケーターになりたいと思ってお手本にしていました。一番好きだったプログラムは『SEIMEI』で、ノービスの時にそっくりの衣装を作ってもらって滑ったこともあるんですよ」と告白した。
「どこかのインタビューでユヅが、ぼくが試合で4アクセルを成功できるかも、意思が強いから、と言ってくれたと聞いて光栄に思いました」
「僕はジャンプに関しては完璧主義」
マリニンは前日のSPでは2度転倒して6位という、予想外のスタートを切っていた。だがフリーでは4アクセルの他に、4トウループ、4サルコウ、さらに4ルッツ+1オイラー+3サルコウ、3ルッツ+3アクセルのシークエンスなどを成功させた。
1つ目の単発の4ルッツでの転倒があったこともあり、フリーは185.44、総合257.28と、そこまで点数は伸びなかった。それでもSP1位だったフランスのケヴィン・エイモスを抜いて、逆転優勝。表彰台はマリニン、エイモス、3位が同じくアメリカのカムデン・プルキネンという顔ぶれになった。
優勝が確定してから改めて感想を聞くと、「優勝は嬉しいけれど、演技の内容的には願っていたものではありませんでした。でもまだシーズン初めだし、これからもっと練習をつめていって調子を上げていけたらと思います」と冷静に反省の言葉を口にした。
「4アクセルも、今日のようにようやく降りるのではなく、練習の時のようにもっときれいに着氷できるように安定させていきます。僕はジャンプに関しては完璧主義なので」