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武豊が語る“53歳ダービー神騎乗→凱旋門賞”「ノリちゃん(横山典弘)にホメられたのが…」「ドウデュースはすでにそういう存在」
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/01 11:01
53歳にして通算6度目となる日本ダービー制覇を達成した武豊。ドウデュースとの凱旋門賞に期待が集まる
「自分自身の励みになる1勝、かな? 53歳の勝利っていうのがこんなにも反響があることにも驚いていて、次は60代でっていう期待もされているんだけど、その前にダービーは来年も再来年もありますから(笑)。当面の目標は、最年長GI制覇。岡部幸雄さんが'02年にシンボリクリスエスで天皇賞・秋を勝ったときの、53歳11カ月を超えたいです」
ダービー優勝当日、ドウデュースの凱旋門賞(10月2日、仏パリロンシャン競馬場、芝2400m、GI)挑戦が、友道康夫調教師から正式に発表された。
「凱旋門賞登録が発表されたときは、正直、ダービーでもちょっと距離が長いかも、と思っていました。皐月賞の好内容で、むしろダービー向きじゃないか? に変わり、いまは前向きな気持ちしかないですね。だって、デビュー以来一番のパフォーマンスがダービーですから。
5月生まれのドウデュースが、東京の2400mを2分21秒9のダービーレコードで走ったという事実。生まれて3年しか経っていない馬が、いや、正確には3年と22日でしたか? 遅生まれのハンデを抱えた馬が、この時期にこんな凄い時計で走ることができるんだなと、あとでじっくりと成績を振り返って改めて感心しました。強い馬ですし、これからさらに強くなってくれるという期待もあります。凱旋門賞に有力馬として胸を張って出られる。ドウデュースはすでにそういう存在になっていると思います」
そういう意味でも海外遠征に向いています
――5月生まれなのに一番落ち着いていたというのが凄いですね。
「驚いたり興奮したりということはないですね。そういう意味でも海外遠征に向いています。反面、色んなことに興味を持つ面白い馬なんですよ。ダービーの直前、石川さゆりさんが君が代を歌い出したとき、歩くのを急に止めて、ずっと聞いていたんです。輪乗りで止まると後ろが詰まっちゃうから動かそうとしたんですが、最後まで止まったまま聞いていました。ファンなのかなって(笑)」
――武幸四郎調教師が「前脚をかき込むようなフットワークでチョコチョコと伸びて来る馬だからフランス向きだ」と断言していました。
「ピッチ走法ですからね。ボクも向いていると思いますし、少々の道悪ならこなしてくれそうです。でも、幸四郎はフランスで乗ってへんからなあ(笑)」
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