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「いったいコヌマは何年間、高校の指導者をやってきたんだ!」オシムは選手権を見てなぜ激怒した? 帝京の名将・古沼貞雄に伝えていた高校サッカーの問題点

posted2022/09/03 17:01

 
「いったいコヌマは何年間、高校の指導者をやってきたんだ!」オシムは選手権を見てなぜ激怒した? 帝京の名将・古沼貞雄に伝えていた高校サッカーの問題点<Number Web> photograph by Takao Yamada

2004年、ジェフユナイテッド市原(当時)を率いた時のオシム。帝京元監督の古沼貞雄さんとはよく食事に行く仲だった

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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Takao Yamada

 1965年から2003年まで帝京高校サッカー部を率い、全国高校サッカー選手権で戦後最多タイとなる6度の優勝を経験した古沼貞雄さん。今年4月で83歳となった名将は、実は生前のオシムとよく一緒に食事をともにするなど親交が深かった。古沼さんの口から語られる人間・オシムとは――。(全3回の2回目/#1#3へ)

 思い立ったらすぐ行動――。それは古沼貞雄さんのポリシーの一つである。2003年限りで9度の全国優勝に導いた帝京高校の監督を退いて、少しした時期だった。当時、66歳を迎えたばかりの古沼さんは、ジェフユナイテッド市原・千葉の練習場に足しげく通うようになっていた。高校サッカー界きっての名将は、イビチャ・オシム監督の『走るサッカー』、『走る練習』に興味を抱いたという。知人だった当時の祖母井秀隆ゼネラルマネジャー(GM)に「練習を見てみたい」と相談すると、快く迎えてくれた。

オシムのトレーニング法は横綱・白鵬と同じ?

「トレーニングの前にオシムとも顔を合わせました。どのように紹介されたのかは分からないですが、会ったその日からよくしてくれて。65歳を過ぎた白髪頭のジイさんがわざわざ来るんだ、コイツは普通じゃないな、と思ったのかもしれませんね」

 遠慮してタッチライン際で眺めていると、オシムがつかつかと歩み寄ってきた。「そんな遠くにいないで、近くまで来い」と。古沼さんは初日からスニーカーでピッチの中まで入り、間近でトレーニングを見学した。感心させられたのは、入念なウォーミングアップ。

「横綱の白鵬は土俵に上がる前に1時間くらいは準備運動を兼ねた基礎トレーニングをしていたと言いますが、それと同じでしたよ」

 週2回は千葉の姉崎まで通い、飽きもせずに選手たちがボールを追いかける姿を眺めた。気がつけば、帰り際にクラブハウスの食堂で選手、スタッフと一緒に昼食を食べていくように促されるまでになった。指導者として学ぶ姿勢を持っていたこともあるが、何よりオシムの練習を見ているのが楽しかったのだ。

【次ページ】 名将が目撃したオシムのタフさとサッカーへの情熱

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