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下関国際ベンチから飛んでいた“選手の声”…なぜ、大阪桐蔭を撃破できたのか? トリプルプレーが必然だった理由
posted2022/08/19 17:03
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Hideki Sugiyama
準々決勝の相手が大阪桐蔭に決まる。
秋の明治神宮大会と今春のセンバツを制した、絶対的な優勝候補。どのチームもひとつでも勝ち上がるためには対戦を避けたがるはずだが、下関国際の坂原秀尚監督は違った。
「大阪桐蔭」より「やってきたこと」を意識
動揺はない。去来したのは高揚感だ。
「あくまで想定のなかではあったんですが、目標である準々決勝を突破するためには、必ず強いチームとの対戦があるわけです。そのなかでも『トップにいる大阪桐蔭を倒すためにはどうするか?』と、選手たちはこの2年4カ月、常にミーティングしてきましたし、練習もしてきました。ですから、さほどバタつくことはなかったと言いますか、準々決勝で戦えることになってワクワクしました」
対戦相手の多くは、大阪桐蔭を強烈に意識して試合に臨んでしまう。
旭川大のように初回にセーフティバントで出鼻をくじき、自分たちのペースに引き込めるチームは稀で、聖望学園も二松学舎大附もチームで掲げる野球を後手に回してしまったことで、結果的に飲み込まれ、敗れた。
坂原の言葉にもあるように、下関国際も当然、大阪桐蔭を意識していた。
ただし、基準は常に自分たちだ。
相手打線をどう抑えるか? 豊富な投手陣をどう攻略するか? という難題に頭を悩ませるのではなく、ただただシンプルに「やってきたことをやれば勝てる」という意識を、それこそ呪文のように唱えチームの根っことし、浸透させてきたのである。
3回戦まで4本のホームランを記録する、相手の破壊力にもひるまない。1回に2点を先取されても、エースの古賀康誠は冷静に自分のピッチングと向き合う。