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大阪桐蔭・藤浪晋太郎が甲子園で投じた決勝史上最速の153キロにも「驚きませんでした」「負ける気がしなかった」《春夏連覇の豪腕伝説》
 

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阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byToshiro Kitagawa/AFLO

posted2022/08/21 06:00

大阪桐蔭・藤浪晋太郎が甲子園で投じた決勝史上最速の153キロにも「驚きませんでした」「負ける気がしなかった」《春夏連覇の豪腕伝説》<Number Web> photograph by Toshiro Kitagawa/AFLO

2012年の甲子園で春夏連覇を果たした大阪桐蔭・藤浪晋太郎。決勝史上最速の153キロも記録した

「あの試合で打ち込まれたあとぐらいから、だいぶ上がってきましたね。修正する能力がすごいんですよ。不調を修正するのも上手いし、試合で序盤に悪くても、後半はきっちり上げてくる」

 その後は春の藤浪に近い投球が見られた。甲子園に出ると、周囲は当然春につづく連続優勝に期待をかけた。選手たちは、まわり以上に優勝を意識した。

夏の甲子園「負ける気はしませんでしたよ」

 甲子園での藤浪は春以上の出来だった。2回戦から登場して6安打2失点、3回戦には登板しなかったものの、準々決勝の天理戦では4安打1失点に抑えての完投勝利。エンジンが吹きあがってきたのが数字にも表れていた。

「藤浪さんはどの球がいいとできがいいとかいうんじゃないんです。ストレートでもカットボール、フォークボールでもきっちり低めに投げられていれば状態がいい証拠。夏は選抜のあとのころと違ってどの球も低めに決まるようになっていました。うちは打線の調子もよかったし、負ける気はしませんでしたよ」

 準決勝の明徳義塾戦では強敵相手にわずか2安打の完封勝利。決勝戦に余力を残したほうがいいのではとさえ思いたくなる投球だった。だが、決勝の光星学院戦は準決勝をしのぐような投球内容を見せる。決勝まで、田村、北條を中心とする強打で勝ち上がってきた光星学院を相手に、立ち上がりからストレート中心にグイグイ押して、走者を許さない。8回までわずか1安打の無失点で切り抜け、最終回を迎える。

 9回の先頭打者には決勝戦では史上最速となる153kmのストレートを投じた。

【次ページ】 「あれだけ速い球にも驚きませんでした」

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