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大谷翔平はなぜエンゼルスを選んだのか? 米番記者が明かす獲得レース舞台裏…衝撃のヤンキース選考外「明日2時間、大谷と会える」

posted2022/08/26 11:01

 
大谷翔平はなぜエンゼルスを選んだのか? 米番記者が明かす獲得レース舞台裏…衝撃のヤンキース選考外「明日2時間、大谷と会える」<Number Web> photograph by Getty Images

7つの候補球団からエンゼルスを選んだ大谷翔平。当時のGMの証言をもとに、ジェフ・フレッチャー記者が舞台裏を明かした

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ジェフ・フレッチャー

ジェフ・フレッチャーJeff Fletcher

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 2021年はMVPを獲得するなど充実したシーズンを過ごしたロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平。今季も104年ぶりの快挙となる「2桁勝利、2桁本塁打」を達成するなど、世界最高峰MLBの舞台で歴史を塗り替え続けている。
 エンゼルス加入時から大谷の取材を続ける番記者、ジェフ・フレッチャー氏の著書『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』(訳・タカ大丸、徳間書店刊)から、ビリー・エップラーGM(当時)の証言をもとに獲得レースの舞台裏を明かした章を抜粋して紹介する(全2回の1回目/2回目に続く

 争奪戦の構図が明確になるのに、それほど時間はかからなかった。

 12月3日の日曜日、大谷が正式にポスティングされた48時間後、ロサンゼルス国際空港に着陸した約1週間後に、一次選考から外れた球団が明らかになった。

 最初に公式声明を出したのは、ニューヨーク・ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMだった。クリスマスのイベントにおいて報道陣に対し、ヤンキースが一次選考から外されたと言明したのだ。

 この一報は、球界全体に大きな衝撃をもたらした。

 ヤンキースは大谷獲得の最有力候補だったのに、一次選考すら通らなかったというのだ。キャッシュマンの理解する限りでは、大谷は西海岸の球団を希望しており、比較的小規模な市場を持つ球団がいいとのことだった。

 ヤンキースがこの2つのどちらにも当てはまらないことは、誰の目にも明らかだ。野球記者たちは軒並み、普段自分たちが取材している球団が大谷から何らかの返答を受け取っているのかの確認を始めた。少しずつだが、報道陣は担当球団が二次選考に含まれているのか、外されているのかを明らかにしていった。

「金銭」が決定的要素にならない

 24時間以内に、二次選考に進む7球団が明らかになった。エンゼルス、ロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シアトル・マリナーズ、テキサス・レンジャーズ、そしてシカゴ・カブスだ。

 ここで、あらためて大谷の球団選びの基準が取りざたされた。

 どう考えても、金銭面が決定的要素にならないのは確かだった。300万ドル以上を用意したヤンキースが外れ、30万ドルしか用意していない4球団(ドジャース、ジャイアンツ、カブス、パドレス)が残っているのだ。

 西海岸の6球団中、オークランド・アスレチックスを除く5球団が残った。だが、カブスとレンジャーズも残っている。日本人選手の有無が関係ないことは明らかだった。イチローがいるマリナーズも残っており、前田健太が先発ローテーションに加わっているドジャースも残っていたからだ。

 このリストにはナショナル・リーグ球団も残っているので、大谷が少なくとも守備をすることを検討はしている、あるいは投手に専念する可能性も考慮していることも確かだった。唯一、この7球団に共通していることがあるとすれば、すべてスプリングトレーニングをフロリダではなくアリゾナで行うことくらいだった。大谷はファイターズ時代に二度、アリゾナでキャンプに入っていて、この地域に馴染みはあった。

【次ページ】 2時間の面会、オフィスで重ねた“予行練習”

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