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9年前、大阪桐蔭のキャプテン・森友哉を襲った“連覇の重圧”「自分が引っ張らなあかんって」…“最後の夏”が終わった日、何を思ったか?

posted2022/08/08 17:00

 
9年前、大阪桐蔭のキャプテン・森友哉を襲った“連覇の重圧”「自分が引っ張らなあかんって」…“最後の夏”が終わった日、何を思ったか?<Number Web> photograph by KYODO

この年、明徳義塾との3回戦で大阪桐蔭は森友哉(左)らの失策も絡み序盤に5失点。岸潤一郎(現・西武)に完投を許した

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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KYODO

今年のセンバツを制し、史上初3度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭。毎年、「優勝候補」に挙げられる宿命――2013年の絶対的正捕手・森友哉(現・西武)は、その最後の夏、3回戦で甲子園から姿を消した。球界を代表するスラッガーへと成長したいま明かす、日本一という使命を背負った主将としての葛藤とは。Sports Graphic Number1008号(2020年7月30日発売)『甲子園一敗の輝き。』を特別に無料公開します。※肩書きなど全て当時のまま

2013年8月17日 3回戦
大阪桐蔭 1-5 明徳義塾
先頭打者ランニング本塁打の流れに乗りたい大阪桐蔭だったが森らの失策も絡み序盤に5失点。岸潤一郎(現・西武)に完投を許した。

西谷監督が語る“中学生・森友哉”の衝撃

 騒然とした空気のグラウンドに目をやると、森友哉がダイヤモンドを1周していた。ホームランを打ったようだった。

 まだ彼が大阪桐蔭高に進む1年以上も前、中学硬式チーム「堺ビッグボーイズ」のOB戦でのことだ。レベルが上の高校生が相手でも圧倒的な存在感を見せつける。森の印象はこの時から今まで変わっていない。

「中学生でも木製バットを使う選手はいますけど、だいたいが慣らし運転。でも中学時代の森は木製バットを本当に道具として使っていたんですよね。こんな選手がおるんやなって衝撃でした」

 大阪桐蔭の西谷浩一監督が森の第一印象で思い出すのは、珍しいものを見たワクワクした感情だ。大阪桐蔭に入学し、自身の手元においてからも、それは変わらなかったという。

「10割バッターを目指せる選手。普通に考えて10割なんてありえないことですけど、森ならできると思える。だから、試合で6打数5安打だったとしたら、5安打を褒めるより、打てなかった1安打のことを問いかけていました」

1年秋から正捕手。新チームは「しんどかった」

 高校1年秋から正捕手となった森の存在感は絶大だった。藤浪晋太郎(現・阪神)、澤田圭佑(現・オリックス)というのちにプロに進む2人の投手をリードし、打撃面でも1、3番打者として、チーム初の春夏連覇に貢献。その後、キャプテンになった森はつごう4度甲子園に出場している。

 しかし、本人に高校時代を振り返ってもらうと、高校2年秋までとその後の1年は、全く異なる時間だったのだという。

「正直、2年秋の新チームからはしんどかったですよ。キャプテンやし、引っ張らなあかんし、どうやってチームを作ったらいいかも、分からんかったから」

【次ページ】 藤浪にリードは必要なかった

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