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「ずっと家庭というものを私自身が欲していた」フジ人気女子アナ・本田朋子30歳が結婚&退社を決意した理由「孤独で涙をこらえる夜もありました」
text by
小泉なつみNatsumi Koizumi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/08/31 11:04
フジテレビのアナウンサーとして人気を集めていた最中に退社を決意した本田朋子さんに当時の話を聞くと…
――毎日、寝られないような日々なんですか。
本田 取材の立て込む週末はそんな感じになっていましたね。平日は平日で昼間にバラエティの収録があるので、毎日リズムがバラバラでした。
――しかも、他の仕事の合間にスポーツの現場に出向いたり、ニュースをチェックする必要もあるわけですよね。
本田 取材の予定がわかるのは直前なので、基本的に予定を入れることができないんです。で、取材が入らなければ自主的に野球を見に行きますから、やっぱりプライベートの時間はない。「身を粉にして働くぞ」と思ってはいたものの、本当に粉になってしまいそうでした(笑)。だから当時、好きなものってなかったんです。唯一の趣味は自炊することでした。
――現在レシピ本も発表されている本田さんの料理への思いは、フジテレビ時代からのものだったんですね。
本田 当時は外食続きと不規則な生活で、吹き出物がたくさんできていました。食べるものの大切さを身にしみて感じたのはこの頃からですね。
月を見上げては涙をこらえる夜も
――結婚と同時に30歳でフジテレビを退職されましたが、キャリア面でも思うところがあったのでしょうか。
本田 経験値が上がったことで仕事の幅は広がっていましたが、日々仕事が続くと消化が追いつかず、ただ作業をこなすだけになりがちです。でも、作業のように仕事をしてしまったらミスのもと、緊張感を持ってなきゃいけない。けど……と、ひとつひとつの仕事ときちんと向き合いたいのに向き合いきれないしんどさを抱えていたタイミングでした。それに、フジテレビ時代はなかなか友人と時間も合わなかったので、孤独だなぁと思うこともありました(笑)。
――局アナというと華やかなイメージがあるので、意外です。
本田 月を見上げては涙をこらえる夜もありましたし、出社途中、電車の中でふいに泣けてきたりして。愛媛から出てきて周りに親族もおらず、友だちともなかなか会えないような生活で、ずっと家庭というものを私自身が欲していたんだと思います。自分がやりたいことは全部やらせていただけましたし、体力的にも限界まで頑張ったという思いもあり、退社を決めました。