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〈秘話〉武豊に先輩・横山典弘が掛けた“最高の褒め言葉”「慌てないよな、お前は」 感動のダービーを終えたレジェンド2人の“知られざる絆”

posted2022/07/22 06:00

 
〈秘話〉武豊に先輩・横山典弘が掛けた“最高の褒め言葉”「慌てないよな、お前は」 感動のダービーを終えたレジェンド2人の“知られざる絆”<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

武豊騎乗のドウデュースは直線まで後方で待機。爆発的な末脚で、残り100m付近で先頭に立った

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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Keiji Ishikawa

 Number1053号掲載の武豊騎手のダービーV6インタビューの中に、「レース後にノリちゃん(横山典弘騎手)に褒められたのもうれしかった」という印象的なエピソードが明かされていた。「いやー、相変わらず動かねえな」、「慌てないよな、お前は」と、文字にしてしまうとぶっきらぼうにも見える先輩からの声掛けが、最高の褒め言葉として武の胸に響いていたのだ。

 その記事を読んだ横山典が、「そうか、俺に言われたことがうれしかったんだ……。そうだよなあ」と、はにかんだように眉を少し上げたあと、言葉をつないだ。

「俺の馬(マテンロウオリオン)は、パドックの時点でテンションが上がり過ぎていたこともあって、最後方での待機策。結果的に一番いい場所から豊とルメール(2着のイクイノックス騎乗)の動きを見させてもらったよ。豊の騎乗は、もう完璧。ドウデュースの手応えは見ている俺にもズッシリと伝わってきていたけど、それでもあいつは動かなかった。ホント、大したもんだったなあ。普通のレースじゃない。ダービーであれができるのがすごいって言うんだよ」

横山典からの“ある提案”

 横山典といえば、レース後のコメントが必要最小限で、ファンに向けての発信力が足りないイメージがあるかもしれない。しかしそんなことはない。騎手クラブの重鎮として、ジョッキー主導のファンサービスについて積極的に意見を述べることも再三。近寄り難い雰囲気を出してはいるが、その本質は長男・横山和生騎手のような、誰にでも気を遣えるキャラなのだ。

 そんな彼から提案があった。

「あのダービーで、俺のヘルメットにカメラをつけてもらっていたら、最高の映像が残っていただろうなあ。もったいなかったよ」

 ヘルメットカメラは、凱旋門賞では毎年誰かが装着して、主催者から後刻映像が公開される方法で定着している。装着者は主催者による直前の選抜だそうで、'19年には武豊騎手(ソフトライト=6着)が着けて迫力ある映像が提供されている。あれを日本のビッグレースでも導入してほしいという騎手側からの提案で、ファンももちろん大賛成だろう。

 JRAも、騎手候補生の模擬レースに現役騎手を参加させてその映像を提供しており、実現も近いのかも。

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