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ピッチャー大谷翔平の“ある変化”…開幕前、元メジャーリーガー・岡島秀樹が確信「足を見るだけで分かる」《前半戦で自己最多の勝ち星》 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byYukihito Taguchi

posted2022/07/19 11:03

ピッチャー大谷翔平の“ある変化”…開幕前、元メジャーリーガー・岡島秀樹が確信「足を見るだけで分かる」《前半戦で自己最多の勝ち星》<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

すでに自己最多の9勝をあげている大谷翔平。元メジャーリーガー岡島秀樹が語る「“足”を見れば、状態が分かる」真意とは

「長いイニングを投げるほど、勝利の確率が上がる」

 先発投手としては、特に試合序盤は余力を残して楽に打ち取っていきたいですよね。1球で1アウトとれるような球種であったり、3ボールからでも簡単に打ち取れるような球種を持っておくことで、球数を抑えることができる。大谷投手の場合はそうして自分が長いイニングを投げるほど、勝利の確率が上がってきますからね。

 さらに次の段階では、右打者の内に食い込んでくるボールとして、ダルビッシュ有投手が投げるような手元で曲がるツーシーム系、シンカーを組み込んでいってもいいですし、スローカーブも生きるかもしれない。パワーで押せる投手ではありますが、長いシーズンを見据え引き出しを多く持つことは自分を楽にしてくれるはずです。新しいことも取り入れて、常に進化しようとする姿勢は本当に素晴らしいですね。

 昨シーズン登板した23試合のうち16試合でマスクを被った38歳のベテラン捕手、カート・スズキのチーム残留は、本当に良いニュースでした。彼はキャッチングが上手くワンバウンド気味のボールをきちんと止めてくれる。スプリットを低めに落として空振りを取ろうとする時にも、安心して投げ切れる相手です。投手の良さを引き出すリードも巧みで、少しリズムが悪い時の間の取り方も絶妙。年齢的にフルで出場はできないでしょうが、専属キャッチャーのような形で大谷投手が登板するときには出てほしいなあ。

 キャンプインが遅れたことの影響を心配する声を聞きますが、それは全く関係ないと思います。スタートダッシュという意味では、生きたボールをあまり打っていない打者の方が慣れるのに時間がかかる分、不利です。実際にパンデミックで年間60試合だった'20年は投手有利なシーズンになりました。「投手・大谷」としては、中堅以上の打者の調子が上がらない前半戦のうちにどれだけ勝ち星を稼げるかも重要です。

 今年はチームもいい形に近づいている。野手では(マイク・)トラウトと(アンソニー・)レンドンが故障から復帰し、先発陣に加入した(ノア・)シンダーガードの調子もよさそうです。これらの戦力が活躍してくれれば、大谷の勝ち星は自ずと伸びていく。昨シーズンはリードを守れなかった展開も多く、本来なら13勝以上はしていた内容でした。今シーズンは二桁勝利はもちろん、防御率や勝率などでもいい数字が出るのではないかと思います。そして、秋には8年ぶりとなる念願のポストシーズン進出へ。大谷投手の力強い「足」を見る限り、期待を抱かずにはいられません。

後編へつづく>

#2に続く
まだまだ進化中…“大谷翔平の理想形”はどこに? 五十嵐亮太が指摘「変化の違う2種のスプリットを使っていきながら…」

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