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フェデラーが”靴底オレンジ”だけで違反、女子選手のスポーツブラに変更を要求…ウィンブルドンの謎すぎる「ホワイト規則」を知っていますか?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2022/07/14 11:02
2013年、シューズのソールがオレンジ色だったフェデラーは違反とされ、次戦から別の靴を履いたが…
こうしてテニスコートのカラフル化は進んだが、ウィンブルドンだけは伝統を守ってきた。しかし「白が基調」というのはかなりあやふやな表現であり、あらためて過去のスターたちを振り返ってみると、70年代も80年代も、かなり派手な色が使われている。また、試合が始まるまでは白が基調でさえなく、ジョン・マッケンローとビヨン・ボルグの入場のファッションを見れば、キリオスの赤いシューズやキャップなどかすんでしまうほどだ。
フェデラーはシューズを変えて”衝撃の敗戦”
記憶に新しいところでは、2010年のセリーナ・ウィリアムズの赤いアンダースコートが印象的だった。白が大部分を占めるという基本は守られているため、認められた。
ところが、2013年にロジャー・フェデラーが身につけたシューズのオレンジ色のソールは違反とされた。シューズの表面積との比率の問題だろう。注意を受けて2回戦では別のシューズに替えたが、その試合でセルゲイ・スタコフスキーに敗れた。フェデラーが2003年以降のウィンブルドンで準々決勝に届かなかったのはこの年が唯一という衝撃の敗戦だった。シューズの違反と結びつけるのは強引かもしれないが、ファッションは選手のメンタルに影響を与える重要な要素でもある。セリーナより早く2007年に赤いアンスコで話題になったフランスのタチアナ・ゴロビンは、「私はウェアに赤が入っていると強い気持ちになれる。自信が湧いてくる。着用を認められたことに感謝している」と語っていた。
なぜ白色か? 運営側の説明
フェデラーの一件が物議をかもし、翌年のルールの厳格化につながったとみられる。現在のルールでは、ウェアはもちろんキャップ、ヘッドバンド、バンダナ、リストバンド、ソックス、下着もすべて白でなくてはならず、カラーが認められるのは幅1センチ以内の縁取りに限られる。下着に関しては、汗で透けたときに見えるカラーも違反とされる。シューズはソールも含めてほぼ全体が白でなくてはならず、大きなロゴは避けること。クリーム色やオフホワイトも白とは認められない。テープやサポーターなど医療目的で身につけるものも、特別な理由がない限り白でなくてはならない。