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「なぜプロ野球スカウトも絶賛する“あの投手”がランクインしてない?」“ドラ1候補”ベスト10から漏れた有力ピッチャーについての言い訳 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/07/06 17:00

「なぜプロ野球スカウトも絶賛する“あの投手”がランクインしてない?」“ドラ1候補”ベスト10から漏れた有力ピッチャーについての言い訳<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今秋のドラフト注目候補の河野佳(大阪ガス〔広陵高〕・176cm80kg・右投右打)。筆者はなぜ中間ベスト10に入れなかったのか?

 確かにすごい球威のボールはないかもしれないが、この左腕には、コントロールと勝負根性がある。高校生左腕で森下ほど「技術」を感じる投手は、過去に記憶がない。

 左腕の生命線は、左打者の内角を攻めるコントロールと覇気があるかどうか……プロで働ける左腕か、否かの分かれ目は、まずそこだ。森下は「そこ」が一級品だ。さらに、いつでもストライクがとれる変化球を、常に3種類は用意してマウンドに上がっているように見える。スライダー、ツーシームにスプリットか……その精度がすばらしい。いつでもストライク……のレベルじゃない。いつでも狙ったコースにドカーン!という「精度」だ。

 まとまり過ぎ、という評価もあるようだが、走者を背負った途端に、速球の強さと変化球の精度がワンランク上がる「ギア」があるのだから、パワー面での伸びしろだって、まだまだ期待できる。体調が戻れば、一気に「ベスト10入り」できる逸材に違いない。

 森山暁生(阿南光)だって、どこが大野(稼頭央・大島高、第10位)に負けてるんだ?と問われると、直感だ……としか言えない。

 森山のツーシームは、ちょっとえげつない。速球と同じ軌道、同じようなスピードで来て、ホームベース上でスッと(右打者の)外に沈む。その変化点が打者に近いから見分けがつかない。逆軌道のスライダーとの放射状の球筋があるから、打者は絞れないし、踏み込めない。

 センバツで大阪桐蔭と互角の戦いをやってのけた鳴門高、強打線の徳島商……激戦必至の今夏の徳島が正念場となる。

「なぜ河野(大阪ガス)が入っていないの?」

河野佳(大阪ガス)が入っていない」というご指摘は、予想通り、いくつもいただいた。

 今年5月の社会人野球・東北大会(宮城)、その決勝戦で地元・JR東日本東北相手に先発6イニングを4安打無四球1失点に抑えている。

 この試合を見ていたら、おそらく「ベスト10入り」だったと思う。じつは私はその2日前に移動していた。「ドラフト」とは、何かとこうした「すれ違い」がつきまとう。

「部長に見せられなかったから、リストに挙げられなかった……」

 こんな風な、担当スカウトの残念しきりなタメ息を何度聞いたことか。

 その昔、「このバッティングじゃ使えん……」と球場を後にしたスカウトが、忘れ物をして戻った球場で、見事なホームランを目撃。これなら……とドラフト指名につながったのが元ヤクルト・古田敦也捕手のトヨタ自動車時代だった。

 昨年7月の日本選手権。広陵高から入社してわずか2年目の河野佳が、早くも強豪・大阪ガスのエースとして堂々の完封勝利。用心深さと大胆さ……その両面を駆使しながら、試合の流れを渡さなかった高度な実戦力は、すでに1年前にも、実際に見ているのだが。

 ちなみに、古田敦也が自らの野球人生を切り拓く大ホームランを打ち込んだのも、日本選手権と同じ「ほっともっとフィールド神戸」だったと聞いている。

<野手編に続く>

#2に続く
「プロ野球のスカウト会議でもモメるのは野手」なぜ“ドラ1候補”中間ベスト10に、あの有名バッターが入らなかったのか?を説明したい

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