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『マキバオー』の漫画家つの丸が明かした連載秘話「ディープとハルウララを見て…」話題を呼んだ『ウマ娘』コラボのきっかけは? 

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屋城敦

屋城敦Atsushi Yashiro

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photograph byShiro Miyake

posted2022/06/26 11:01

『マキバオー』の漫画家つの丸が明かした連載秘話「ディープとハルウララを見て…」話題を呼んだ『ウマ娘』コラボのきっかけは?<Number Web> photograph by Shiro Miyake

『マキバオー』作者つの丸氏に、連載当時の生活や、いま話題の『ウマ娘』などについて聞いた

「続編を描いてくれ」と言われ続け…

 4年間にもわたった『みどりのマキバオー』の連載を終えたつの丸を待っていたのは、毎週必ずやって来る“締切”という悪魔の言葉に追われない平穏な日々。しかし、もちろんそれだけではなかった。

「売れた作品を描いた人は皆通る道ではあるのですが、『みどりのマキバオー』が終わってからずっと『続編を描いてくれ』と言われ続けていたんです。でも描きたいという意欲もすぐには湧いてこないし、断り続けていました」

 週刊連載を持つマンガ家の生活は過酷である。1週間ほとんど休む間もなく原稿を描き続け、終わったと思ったらその瞬間から翌週の原稿がスタートする……その繰り返しだ。

「連載が終わった後、その4年間どういう生活を送ってきたかがまったく思い出せないんですよ。原稿を描いている間は『マキバオー』の世界の住人になっているのですが、そこから一度現実に戻ると、また世界に入り込むのが大変でした。だから、作業が終わるまでは外界の人となるべく接触しないようにして、気持ちが切り替わらないようにしていたんです」

 その姿勢は、結婚したばかりの妻をはじめとした家族に対しても同様だった。家にはほぼ不在で「当時はそれで家族ともよくモメていました(笑)。自分の結婚式もたいして覚えていないくらいだし……」。

「妹の結婚式の時は、式が始まるギリギリまで原稿を描いて、急いで着替えてタクシーに飛び乗って、終わったらすぐとんぼ返りしてまた原稿へ……といったことをしていました。だから連載が終わるまでは、妹のお相手の顔もうろ覚えだったんです(笑)」

 そのような状況下で、すぐに意欲を取り戻せというのも酷な話だろう。

「ディープとハルウララからイマジネーションをもらった」

 一方で、競馬界では第二次競馬ブームこそ下火になっていたが、新たなヒーローたちが続々と誕生していた。負けても負けても懸命に走り続ける“負け組の星”ハルウララや、それとは対照的に圧倒的な強さで旋風を巻き起こしたディープインパクトである。

「現実世界のほうからおもしろいネタがどんどん提供されてきたんです。特にディープインパクトとハルウララからはイマジネーションをもらいました。勝ち続ける馬と負け続ける馬が、どちらもヒーローとして扱われる。同じ競走馬なのに住む世界が全く違うという格差を目の当たりにしました。それで、高知競馬を舞台に描いてみよう、ということになって『たいようのマキバオー』を始めることにしました」

【次ページ】 「ディープとハルウララからイマジネーションをもらった」

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