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格闘技PRESSBACK NUMBER
東京ドームで芦澤竜誠と“狂気のケンカマッチ”を行うYA-MANの二面性とは… 会見で“ブチ切れ乱闘騒ぎ”も「自分の武器は戦略力」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2022/06/18 17:01
『THE MATCH 2022』で“K-1の問題児”芦澤竜誠と対戦するYA-MAN。両者は会見で乱闘騒ぎを起こしており、試合前の視殺戦からも目が離せない
YA-MANが「自分はこう思うけど、どう思いますか?」と聞けば、宮城会長からは「こうした方がいいんじゃないか」、あるいは「いまの考えでいいんじゃないか」という答えが戻ってくるという。YA-MANは「自分は型にハメられるのが大嫌い。大樹さんが指導者で本当に良かった」と胸を撫で下ろす。
「『これやれ』『あれやれ』は論外。もちろんある一定の時期までは指導者の指示に従うことで絶対に強くなる。でも、あるときを境にそれだけだと、対応しきれなくなる。相手がどんな戦法でこようと、自分の考えを持ち、自分の作戦で相手の型に合わせることができるからこそ、自分は勝てているんだと思います」
まるで相手の技を受けることが大原則のプロレスのような発想ではないか。
――もう少し具体的にいうと?
「相手の型に合わせながら、その型(の弱点)につけ込むということです。自分の闘いは適当にやっているように見えたり、ただ打ち合っているようにしか見えないかもしれないけど、そうではない。自分の得意なパンチにどうやって持っていくか。そのプロセスを大切にしている」
いざ「ケンカマッチ史」を塗り替える激闘へ
格闘家としてのYA-MANは「持っている」タイプだ。敗れた平塚戦後、一度は引退も考えたが、オープンフィンガーグローブマッチ開催の話を聞きつけ現役続行を決意。前述したように作戦に対する考えを改めたのに加え、自分の持ち味を存分に発揮できる新たなルールに出会えたことで一気にブレイクした。その後、オープンフィンガーグローブマッチを中心に5連勝と波に乗る。昨年大晦日には人気絶頂の皇治も下した。通常のボクシンググローブによるキックボクシングも経験しているため、ふたつのルールの違いをYA-MANは肌で感じている。
「ボクシンググローブだと(パンチがヒットしたら)脳が揺れている時間が長い。対照的にオープンフィンガーだと、その揺れは一瞬。ストンと意識は落ちるけど、直後にパッと起き上がれるような感じ。だから相手からしてみれば、『打ち抜いたのに、なぜ立っているのか?』みたいな反応が多い」
今回の芦澤戦も、『THE MATCH 2022』の中では唯一オープンフィンガー着用のうえで争われる。本来はMMA(総合格闘技)に使用されるこのグローブでの闘いに一日の長があるという部分ではYA-MANにアドバンテージがあるが、粗削りで無軌道な芦澤の意外性も捨てがたい。RISEとK-1の狂気が交錯したとき、日本のケンカマッチ史は塗り替えられるのか。東京ドームのリング上にも、ふたりのYA-MANがいる。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。