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格闘技PRESSBACK NUMBER
東京ドームで芦澤竜誠と“狂気のケンカマッチ”を行うYA-MANの二面性とは… 会見で“ブチ切れ乱闘騒ぎ”も「自分の武器は戦略力」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2022/06/18 17:01
『THE MATCH 2022』で“K-1の問題児”芦澤竜誠と対戦するYA-MAN。両者は会見で乱闘騒ぎを起こしており、試合前の視殺戦からも目が離せない
「サンドバッグは動かないので意味がない」
もちろん、一朝一夕に完璧な戦略型になったわけではない。苦い思い出もあった。昨年2月28日の平塚大士戦。YA-MANは平塚の左ミドルキックに捕獲され、いいところなく判定で敗れた。敗因を聞くと、のちにダークヒーローとなる男は「相手をなめていて、何も考えずリングに上がっていた」と打ち明ける。
「対照的に相手のセコンドには(チームドラゴン代表で名伯楽として知られる)前田憲作さんが就いていて、自分に対する戦略を練りに練っていた感じだった。そのときに改めて『作戦って大事だな』と思いましたね」
それからYA-MANは練習内容を改めた。
「作戦を練りに練って、練習に落し込むようにしました」
追い込み練習を辞め、ひたすら練った練習をやり続けるメニューに切り換えた。
「なぜかって? 追い込みって要はメンタルとスタミナのためのトレーニングなんですよ。『これだけ俺は練習したんだから、絶対に負けない』。そう思えるだけの実体験を培う練習ということです。ただ、それまでにもスタミナで負けたことはなかったので、自分に追い込みは必要ないと悟ったんですよ」
そういった確固たるポリシーで格闘技と接しているので、YA-MANは5月に関東某所で行なわれたTEAM RISEの合同合宿への参加も見送った。近い将来、闘うかもしれない他のジムの選手と一緒に練習することをよしとしなかったのだ。アウトローは群れることを嫌う。さらにYA-MANは、「いまはサンドバッグもほとんどやらない」と話す。
「それをやるくらいなら、シャドー(ボクシング)をやる。サンドバッグは動かないので、やる意味はほとんどないと思います」
幸いYA-MANが所属するTARGET渋谷の宮城大樹会長は選手個人の意志や考えを最大限に尊重するタイプで、自分の考えや価値観を無理やり押しつけるようなことは一切しない。