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クラブ馬主に夢はあるのか? 出資者のリアルな収支を検証… “5年でマイナス80万円”でも「これ以上の娯楽はない」と断言するワケ
posted2022/06/18 11:04
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Photostud
「平均的な収入」でも手が届くクラブ馬主
「一口クラブ」の名門といえば、2021年のダービー馬シャフリヤールを所有するサンデーレーシングや、2022年の牝馬二冠を制したスターズオンアースの社台レースホースを思い浮かべる人も多いだろう。これらのクラブは俗に“大口”と呼ばれ、1頭につき全40口で出資を募るため、一口あたりの金額は最低でも数十万円、目玉クラスの良血馬の場合は300万円以上と、平均的な所得ではなかなか手が届かない価格設定となっている。
しかし400~500口のクラブであれば、一口あたりの金額は数万円という募集馬が多い。もちろん大口クラブと比較すると分配される賞金の割合は低くなるものの、一般の競馬ファンにとっても決して非現実的な趣味ではない。
今回、取材に応じてくれた神奈川県在住の会社員Oさんはクラブ馬主歴5年。500口募集のクラブを中心に、1000~2000口の“超小口募集”クラブの会員でもある筋金入りの競馬ファンだ。
20代後半で独身のOさんの年収は、本人いわく「同年代の平均くらい」。競馬の他に趣味という趣味もなかったため、就職後すぐに出資を検討しはじめたという。
「初めて出資した2016年生まれの世代は、余っていた募集馬の中から丈夫そうな馬を3頭選びました。ただ入会した段階で、満口になっていない馬が10頭くらいしかいなかった。当時はあまり知識がなかったので、とにかくガッチリとした体型の、故障しなさそうな馬を選んだんです」
出資馬のうちの1頭(一口3万円)は3歳春にダートの未勝利戦を勝ち上がったものの、「丈夫そう」という見立てに反して故障のため6戦1勝で引退。残りの2頭は中央で勝ち上がることができなかった。