球体とリズムBACK NUMBER
森保ジャパンがW杯で勝負に徹するなら「5バック気味ゼロトップ」も選択肢? “適性あり選手”は意外と多い〈強豪国対策で密かな流行〉
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/06/18 06:00
チュニジア戦の0−3はW杯本番に向けて非常に手痛いレッスンとなった。森保監督はどんな一手を用意しているのか
これ以上ないほどに厳しい組み合わせは、贅沢な機会と好意的に受け止めることもできる一方で、目標への到達を果てしなく困難にさせるものでもある。本当に目指すものが、あくまでも「準々決勝到達」ならば――玉砕覚悟の美学にはロマンこそあっても――現実的には異なるプランを用意した方が良い気がする。
たとえばチュニジア戦でも見たように、相手が堅牢な守備網を敷くと、日本の球回しはその外側だけで展開され、選手の動きも滞ることがままある。またブラジル戦では、低い位置からのビルドアップを激しく狙われ、危険なシーンが続いた時間帯もあった。アジアの相手を倒せたやり方も、世界の列強や中堅国を打ち負かすほどのものではないと、この連戦で痛感したのではないだろうか。
ガーナ戦で試した“5バック気味の3バック”
残された時間は、確かに少ない。それでも個人的には、目標到達の可能性を高めるために、ここからでも変化を望みたい。
そのひとつとして、実際に森保監督もガーナ戦で試した3バック(5バック気味)は守備の強化に繋がりそうだ。
チュニジア戦後に鎌田大地が「W杯とかになればなるほど、失点しないことが大事になってくると思う。チームとして我慢しなければいけない」と言っているように、辛抱を強いられる時間は絶対にある。そのためのプランBを忍ばせておきたい。今回招集されたメンバーをもとに、フォーメーション図で一案を示してみる(※外部サイトでご覧の方は関連記事よりフォーメーション図をご覧になれます)。
実際に5枚の最終ラインと言えるこのシステムは最近、W杯欧州予選プレーオフでウクライナに勝ったウェールズや、ネーションズリーグでイングランドを下したハンガリーが採用していたものだ。どちらも普段から欧州の強豪を相手にするなかで、リアリスティックに結果を求めて導き出されたものだろう。カタールW杯のグループEでアンダードッグとなる日本も似た立場だ。
最前線は大迫タイプが望ましいがゼロトップなら……
GKには、ゴールを守ることに関してはもっとも信頼できる権田修一を。パラグアイ戦で代表にデビューした伊藤洋輝は体のコーディネーションがSB向きではないように思えるが、高精度のキックを放つ左足は魅力的なのでCBの左に。それ以外の守備者も全員フィードの質が高いため、ショートパスに固執することなく、長いボールで伊東純也や三笘薫の前方のスペースを狙っても面白そうだ(右WBの山根視来には攻め上がりも期待)。