濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
《筋肉美&コスプレも話題》JEWELSトーナメント完全優勝でUFC復帰なるか? 女子格闘家・中井りん35歳が見せつけた「正統派の証明」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byDEEP JEWELS
posted2022/06/03 11:03
DEEP JEWELSフライ級トーナメント決勝、杉山しずかに腕ひしぎ十字固めを狙う中井りん
組み技での勝負、見せつけた“圧倒ぶり”
トーナメント・ファイナルの2試合は(箇所は明かさなかったが)負傷を抱えながらの闘いになった。無理をせず得意な組み技での勝負。「打撃は捨てていきました」と宇佐美。だからこそ“圧倒ぶり”も目立ったのだろう。これからUFCを目指すにあたっては「すべての面で成長しなければいけない」と中井は言う。
1日2試合もプロでは初の経験。準決勝は大会の第1試合だったため、いつもに比べてウォーミングアップの時間がないことに戸惑った。柔道をやっていたからトーナメントには慣れているが、準決勝と決勝の間の時間をどう過ごすかも課題だった。
それでも、1日2試合すること自体に問題はなかったという。
「普段のスパーリングのつもりで。毎日何十本とやっているので」
1試合目でアップができた、という感覚だったそうだ。練習量からくる自信は、環境によるものかもしれない。ジムは愛媛県にある。練習相手、出稽古先などはそう多くない。女子ならなおさら。階級が近く、かつ中井と同レベルで闘えるスパーリングパートナーはそうはいない。そういう中で実力をつけ、自信を得るにはやはり練習量も重要だったのだろう。
1日の練習時間は?
1日の練習時間はと聞くと「朝2時間、その後で5時間、プラス2時間……だから平均9時間になっちゃいますね」と宇佐美。「練習は長ければいいというものではないんですが」と言うのだが、同時に「どうしても必要な練習をしていると、それくらいになってしまうんですよ」とも。中井も宇佐美が決めた練習メニューを着実にクリアしていった。
フィジカル練習を削った結果、技術の練習に回せる時間が増えた。ボクシング、柔術など、MMAを構成する各ジャンルの最先端の技術を取り入れてきたそうだ。
「細かい、専門的な分野も練習できるようになりました」と中井。宇佐美は「総合格闘技は常に進歩してますから。新しいものを取り入れないと置いていかれる」。