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羽生結弦の登場に思わず歓声が…3年ぶりのファンタジー・オン・アイスで魅せた「『羽生結弦のスケート好きだな』って思ってもらえる演技を」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2022/05/30 17:04
3年ぶりに幕張で開幕した「ファンタジー・オン・アイス」。トップスケーターが集まる夢の祭典に、羽生結弦が登場した
再びスガシカオとのコラボレーション、曲は『Real Face』。フードをかぶった羽生は途中でそのフードを外すと、カップに入れた水を被る演出も交え、激しい踊りをみせつける。オープニングからの情熱は、4回転トウループとトリプルアクセルを披露したフィナーレに至るまで尽きることはなかった。そのエネルギーが引き出すように、エネルギーに呼応するように、歓声と拍手が場内を包んだ。
ショーにとって羽生の存在が大きいのはむろんのこと、羽生にとっても、ファンタジー・オン・アイスは重要な機会となってきた。2017年の公演はオリンピックイヤーに臨むショートプログラムに『バラード第1番』を用いることを明らかにし、そのお披露目の場ともなった。2018年と2019年は、シーズン中に負った怪我からの回復ぶりを示す機会であった。
羽生結弦にとっての「ショー」とは
また、ショーでの出会いを通じて、糧を得てきた。例えばその1人、シンガーソングライターの指田フミヤとは2012年の公演を通じて出会い、音楽を巡り深く会話を交わすなど意気投合。東日本大震災からの故郷の復興を願った『花は咲く』で再び共演するなど長く交流を続けているが、それらもまた、財産となっていただろう。
3年ぶりの今回もまた、大切な時間となった。