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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
クロップが「世界一という評判に興味がない」と語る理由… 王手をかけたCL制覇も通過点、リバプールで目指すものとは
posted2022/05/27 17:16
text by
アルトゥル・レナールArthur Renard
photograph by
Getty Images
主力の離脱で苦しんだ昨季を乗り越え、今季はふたつのカップ戦を制覇。リーグ戦こそシティに一歩及ばなかったものの、CLではファイナルにまで勝ち上がり、レアル・マドリーへのリベンジの機会を得ている。チームを指揮して7年、クロップはいかにしてリバプールを再建したのか。インビュー後編では、チーム作りの信念と今後の展望を語ってくれた。<翻訳:山中忍/全2回の後編。前編も>
アシスタントではなく“パートナー”が揃っている
リバプールのコーチングスタッフは、色とりどりのジグソーパズルのようだ。各ピースが個々の特色を生かしながら全体像を完成させる。近年はジャック・ロビンソン(アシスタントGKコーチ)とクラウディオ・タファレル(GKコーチ)も一員に加わり、充実度を強めている。
「ロビンソンは自身がキーパーとしても才能があったが、コーチとしても一心不乱に才能を発揮してくれている。タファ(タファレルの愛称)は、言わずと知れた94年W杯の優勝メンバー。覚え切れないほど多くの試合でブラジル代表のゴールを守った彼は、最高の経験とスピリットをもたらしてくれている。
誰もが、それぞれインスピレーションを与え合える環境は素晴らしいよ。リバプールのサッカーに懸ける情熱は全員に共通。そのなかで、力を合わせながら各自が自分を高めることができる。私のスタッフ陣にはアシスタントではなく“パートナー”が揃っている。この違いは非常に大きい。もちろん、最終的な判断を下すのは自分で、最終責任はすべて監督にある。だが、私は自分が天才などではないことは誰よりも理解している。それでも、選手たちのためにできる限り良い監督でありたい。そこで、然るべきパートナーたちの協力が必要になるわけだ。自分ではグループを形成してシナジーを生み出し、各自に与える責任を通して成長を促せる点が最大の長所だと思っている。すべてをシェアできるから、この仕事は辞められない。周りから刺激を受けたいし、自分も周りにインスピレーションを与えたい。そうやって成長していくものだと思っている」
そのような姿勢を持つクロップ監督以下のコーチングスタッフによって、リバプールの選手たちは日々やる気をかき立てられている。
「週の始めにスタッフを監督室に集めて基本的な方向性を提示するのは私だが、具体的にどうしたいのか、どうすべきなのかは全員で意見を交わしながら進めていく。選手たちが率先して取り組みたがるトレーニングセッションでなくてはならない。楽しみながら自然と、次の相手に勝つための戦術的なポイントが理解されるようなメニューほど、効果的な練習はない」