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「ほとんど監督」な長谷部誠38歳の緊急出動、「カマダはラブリー」英紙絶賛の鎌田大地も…“小野伸二以来のEL制覇”での仕事人ぶり
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2022/05/19 17:10
EL制覇を成し遂げたフランクフルトの鎌田大地と長谷部誠
レンジャーズの主将タバーニアが度胸満点の正面へのキックを成功させると、以降はゴールの四隅を貫くゴールの応酬に。フランクフルトの3番手、鎌田も右のポストの内側に強いキックを沈めている。
直後に、117分に投入された経験豊富なアーロン・ラムジーが中央に放ったキックをGKケビン・トラップが足で弾き、これが両チームを通じて唯一のミスに。最後はボレが左のトップコーナーに誰も取れないようなシュートを決めて、フランクフルトが42年ぶりに優勝し(当時はUEFAカップ)、来季のチャンピオンズリーグ出場権を獲得した。
長谷部いわく「研究熱心で真面目な」指揮官が会見後……
「先制されて追いついて、最後はPK戦で勝ったのだから、我々は幸運だったと思う」と試合後にオリバー・グラスナー監督は話した。
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「でもこの大会で13試合を戦い、1度も負けなかったのだから、完全に私たちにふさわしい勝利だった。本当にこのチームが誇らしいよ」
この47歳のオーストリア人指揮官のことを「研究熱心で真面目で良い人。チームにもそんな彼の人柄が出ている」と話していたのは、キャプテンマークを巻いて優勝の瞬間を味わった長谷部だ。
彼と鎌田はEL決勝の大舞台でそれぞれの持ち味を出し、日本人として小野伸二が2002年にフェイエノールトで成し遂げて以来の偉業を達成した。来季の去就はまだ定かではないが、チャンピオンズリーグの本戦でも彼らの勇姿を観たい。
最後に、試合後の記者会見での珍しい一幕を伝えておきたい。
グラスナー監督がメディアからの質問に応えている最中にロッカールームから選手たちが乱入し、「カンピオーネ!」を合唱して飛び跳ね、水をぶちまけていった。そんな会見は、個人的には初めて目にするものだったが、きっとその宴はフランクフルトの街でも続いていることだろう。
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