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「U-21ドイツ代表の10番」は日本代表の資格あり 急成長の21歳アペルカンプ真大に直撃「日本から話が来れば…」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2022/05/13 11:02
デュッセルドルフで存在感を高めるアペルカンプ真大。近い将来、ドイツと日本のどちらの代表を選択するのだろうか
U-21ドイツ代表のチームメイトはすでにA代表へ
アペルカンプは、昨シーズン終盤に4試合連続ゴールを挙げるなどのパフォーマンスが認められて、U-21ドイツ代表に招集された。U-21欧州選手権メンバーにも選出されて、ドイツ国内でも話題となった。ドイツは決勝でポルトガルを破り見事優勝。アペルカンプは残念ながら出場機会はなかったが、貴重な経験を積んだ。
「僕らの年代でベストな選手が集まるチームですから、素直に嬉しかったですね。違う世界でした。(チームに合流するまで)僕は誰のことも知らなかった。チームはもうみんな知ってるなか僕だけが新人で、ゼロからのスタート。最初はすごく難しかったですけど、トレーニングするごとに関係も良くなっていきました。みんな、ブンデスリーガ1部とか海外でやっている選手なので、そういうレベルを見られたのもよかった。シュテファン・クンツは本当に素晴らしい監督ですね。2週間くらいで、この人はスペシャルな人だなと感じました」
当時のU-21ドイツ代表メンバーのうち、すでにフロリアン・ビルツ(レバークーゼン)、ニコ・シュロッターベック(フライブルク)、ダビド・ラウム(ホッフェンハイム)、そしてカリム・アデイェミ(ザルツブルク/オーストリア)らがA代表デビューを飾っている。彼らをすぐそばで見て、どのようなことを感じたのだろう。
「ビルツは一番若かったけど、ものすごいオーラがありました。常に自然体で、彼がやるとすべてのプレーが簡単に見えてしまうほどでした。あと、アデイェミはスピードがもうずば抜けている。個の力で状況を打開できるああいう選手は、やっぱりすごい。それからシュロッターベックは1対1に強く、パスも出せる」
「ひとつのオプションとして考えます」
アペルカンプは、U-21ドイツ代表として昨年9月のU-21欧州選手権(2023年開催)予選サンマリノ戦で背番号10を背負いフル出場するなど、2試合の出場歴を持つ。その一方、まだA代表では出場歴がないので、現時点では日本代表を選択することもできる。
「いまのところはドイツでも日本でも行けるので。だけど、まだ決めてないですね。もし日本から話が来れば、ひとつのオプションとして考えます」
可能性は広がる。もちろん、今後も所属クラブでコンスタントに試合に出て、安定したパフォーマンスを披露し、少しでもいい成績を残すことがベースとなる。
「やっぱり、若い選手にとって一番大事なことは試合でプレーすることだと思っています。(取材時点で)残り3試合ですけど、あと2点は取りたいですね」
自信は? という問いかけに、「あります」と落ち着きのある表情で答えた。
デュッセルドルフは今季一桁順位でフィニッシュし、来季こそ昇格に向け万全の布陣で臨みたい。その中心には、きっと勇敢なアペルカンプの姿があるはずだ。