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佐々木朗希の次は「大野雄大9回2/3完全投球」、100球未満完封「マダックス」も2回… 今季が“超・投高打低”な要因とは 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki/Hideki Sugiyama

posted2022/05/10 11:05

佐々木朗希の次は「大野雄大9回2/3完全投球」、100球未満完封「マダックス」も2回… 今季が“超・投高打低”な要因とは<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/Hideki Sugiyama

9回2/3完全投球の大野雄大と、28年ぶり完全試合の佐々木朗希。今年のプロ野球は投高打低の傾向にある

2002年 3時間8分 /打率.260 / 防御率3.65
2003年 3時間13分 /打率.277 / 防御率4.41
2004年 3時間19分 /打率.281 / 防御率4.55
2005年 3時間13分 /打率.274 / 防御率4.10
2006年 3時間10分 /打率.267 / 防御率3.65
2007年 3時間14分 /打率.269 / 防御率3.72
2008年 3時間9分 /打率.270 / 防御率3.83
2009年 3時間8分 /打率.265 / 防御率3.79
2010年 3時間13分 /打率.274 / 防御率4.05
2011年 3時間6分 /打率.251 / 防御率3.01
2012年 3時間8分 /打率.252 / 防御率2.95
2013年 3時間17分 /打率.263 / 防御率3.65
2014年 3時間17分 /打率.265 / 防御率3.75
2015年 3時間13分 /打率.257 / 防御率3.43
2016年 3時間11分 /打率.261 / 防御率3.67
2017年 3時間8分 /打率.255 / 防御率3.67
2018年 3時間13分 /打率.261 / 防御率4.01
2019年 3時間16分 /打率.256 / 防御率3.91
2020年 3時間13分 /打率.254 / 防御率3.85
2021年 3時間11分 /打率.250 / 防御率3.55
2022年 3時間5分 /打率.237 / 防御率3.12

 NPBは「試合時間の短縮」を訴えてきたが、ここ10年で3時間10分を切ったのは2017年だけだった。ところが今年は2002年以来最短の3時間5分。大野雄大の試合は延長10回で2時間36分、さらに西武は平均試合時間が2時間59分と3時間を切っている。

 それ以前では2011年、12年に3時間10分を切っているが、これは明らかに「統一球」の導入が背景にあった。反発係数の低い統一球が両リーグに導入されて、2011年の平均打率は前年より2分以上も下がり、防御率は1.0以上も良くなった。投高打低が進んだ結果、試合時間が短縮された。

 ここ4年、平均打率は下降気味で平均防御率は良くなる傾向にあったが、今年はその傾向が極端に顕著になっている。平均打率は2002年以来では最も低い.237、防御率は3番目に良い3.12である。

統一球の仕様、ルール変更などはなさそうだが

 では、なぜここまで極端な投高打低が進行したのか?

 統一球の仕様変更があったという発表はない。ボールは従来のものと変化はないはずだ。打者が不利になるルール変更が行われたわけでもない。

 今年の極端な投高打低には、「コロナ禍」が影響していると考えられる。

 ここまでDeNA、阪神、オリックス、楽天などで複数の選手がコロナに感染し、戦線離脱を余儀なくされた。昨年も陽性者は出ていたものの少数にとどまっていた。しかし今年はオミクロン株に入れ替わり、ほとんどが軽症、あるいは無症状とはいえ、昨年とは比較にならないほど多くの選手が陽性判定をされ、戦線離脱している。

 NPBは陽性判定などで登録抹消された選手は本来の再登録までに必要な10日間を待たずに一軍復帰が可能となる「特例2022」を導入し、戦力低下を最小限にとどめる措置を打ち出した。それでも多くの球団でベストメンバーが組めない事態が発生した。

【次ページ】 若手にはチャンスだが、それは佐々木朗希らにも……

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