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母子家庭で育った大野雄大&柳裕也…中日のダブルエースが語る“球場招待プロジェクト”への思い「母親はホンマによく野球を続けさせてくれた」

posted2022/05/08 11:03

 
母子家庭で育った大野雄大&柳裕也…中日のダブルエースが語る“球場招待プロジェクト”への思い「母親はホンマによく野球を続けさせてくれた」<Number Web> photograph by Ichisei Hiramatsu

交通事故で父を失った経験をもつ中日・柳裕也。今年から“あるプロジェクト”をスタートさせた

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渋谷真

渋谷真Makoto Shibutani

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Ichisei Hiramatsu

 5月6日の阪神戦で9回2/3をパーフェクト投球を見せた大野雄大と、右のエース・柳裕也。中日先発陣が誇る左右両輪には、共通項がある。それは「母子家庭で育った」ということ。子育てに奮闘するシングルマザーは決して珍しくはないかもしれないが、現実として仕事をしながら、家事から育児まですべてを1人でこなす苦労は、恐らく筆者が想像している以上だろう。

大野が「ひとり親家庭」を球場に招く理由

 自らと似た環境の家庭に、スポーツ観戦を通じて笑顔を届けたい。大野が5年前から継続し、柳は今シーズンから開始した活動がある。まずは「大野雄大招待プロジェクト」。母子家庭に限らず「ひとり親家庭」を対象に、計5試合で50組(最大200名)をバンテリンドームに招待する。

「野球観戦を通じて、親子の絆を深めてもらいたい。本当は来ていただいた皆さんと触れ合いたいんですが(コロナ禍では)なかなかそうもいきません。代わりに自分のピッチングで元気を届けられるようにがんばります」

 スタートしたのは2017年。原点はソフトバンクの和田毅の活動だ。和田は2005年から開発途上国の子供たちのために、感染症のワクチンを届けている。1球10本を基本に、勝てば20本、完投勝利なら30本などあらかじめ決めてあるルールに従って加算。昨シーズンだと4万300本のワクチンを、ミャンマー、ラオス、ブータン、バヌアツの4カ国に届けた。

「僕が和田さんの活動を知ったのは、高校生のときだったと思います。CMで見て、素直にかっこいいと。成績によって決めるというのもなおかっこいいと感じました。もし自分がプロ野球選手になれたら、こういう活動をしたい。そう思って野球を頑張っていたんです」

授業料をアルバイトで…プロ野球選手になるまで

 大野の両親は2歳のときに離婚。6歳くらいのころ、公園で遊んでいたら「雄大か?」と男性に声をかけられたことがある。父の記憶はその前も後もない。

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