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《最後の肉声》「あなた方は進歩した」日本のW杯出場を喜ぶオシムの憂いと祈り「実はうまく歩けない」「プーチンは狂信的ですらある」
posted2022/05/04 17:04
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
イビチャ・オシムに電話をしたのは日本がシドニーでオーストラリアを破り、1998年以来7回連続のワールドカップ本大会出場を決めた数時間後だった。試合がオーストリアでも生中継されるのを筆者が知ったのは、当日(ヨーロッパ時間で3月24日午前)になってからだった。そのためオシムに伝えることができず、彼は日本が会心の戦いでオーストラリアを下した試合を見てはいない。それでもオシムは日本の突破を心から喜び、同時にロシアの侵攻が止まないウクライナの状況を憂えるのだった。
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――元気ですか?
「ああ、元気だが君はどうだ?」
――私もまあまあです。
「あなた方は勝ち点3を得たのだな」
――ええ、とても満足しています。
「予選を突破できたのだから。ジャーナリストも仕事が増えて嬉しいだろう(笑)」
――まあそうです(笑)。これからも続けられます。
「世界チャンピオンになるまで仕事は続くな(笑)」
――それはまだ先ですが。
「いや、考えていることは口にすべきだ。どうして不可能といえるのか」
――たしかに最終的な目標は……。
「あなた方は進歩した。本大会出場を果たしたのは素晴らしいことだ。サポーターをはじめすべての日本人が喜んでいるだろう。予選突破は簡単ではない。ヨーロッパでもこれから試合がある。今日はオーストリアがウェールズと対戦する。難しい相手だ」
私は毎日試合を見続けている
――プレーオフは厳しいですね。
「とても厳しい。そのぶん、予選を突破したときの喜びも大きい。ウェールズは実力的にはほぼ同じレベルにあるから、オーストリアにはぜひ勝ち抜いて欲しい。レアル・マドリーでプレーする選手(ギャレス・ベイル)が代表に入っているが、それが彼らの唯一の切り札だ。だがチームはさほどコレクティブではない。オーストリアもそうだが彼らのほうが選手の入れ替えが激しく、普段リーグでプレーしている選手もしていない選手もいる。だが、それでも厳しいことに変わりはない。
それで君らのほうはどうなっているのか?」