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将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太竜王「12敗」の研究(昨年度も驚きの勝率0.813)…では“4強”相手の勝率は? そもそも四段昇段の平均年齢が22歳なのに…
posted2022/04/21 11:04
text by
君島俊介Shunsuke Kimishima
photograph by
KYODO
2021年度の将棋界も、驚異的なペースで勝ち進む藤井聡太竜王の活躍が際立った1年だった。21年度の藤井の成績を見ると52勝12敗(勝率は0.813)。
細かく見ると、渡辺、永瀬、豊島の3人との対戦だけで30局指している。その内訳は表の通りで、計23勝7敗と藤井が大きく勝ち越した。20年度は3人に8勝4敗だったので、勝率もさることながら、局数も大幅に増えた。
戦術面では、先手の主軸戦法を21年に角換わり腰掛け銀から相掛かりに切り替えたことが特筆される。21年度の先手相掛かりの成績は17勝2敗。そのうちタイトル戦では6勝1敗で白星を稼いだ。相掛かりは序盤から選択肢が広く、角換わり腰掛け銀のように終盤まで定跡化された展開は少ない。
藤井のほとんどの対局は、棋譜中継、ライブストリーミング中継されている。その中で将棋ソフトが示す形勢のグラフが、少しずつ藤井側に振れる様子が「藤井曲線」と呼ばれている。将棋は「逆転のゲーム」とされる。だが、藤井は逆転負けが少なく、優位に立つと逆転を許さず勝ち切ってしまう。こうした中終盤力の高さを「藤井曲線」は表しているのだ。相掛かりは研究の範囲で終盤に進みにくいため、藤井の持ち味を出しやすいと考えられる。
そもそも四段昇段の平均年齢が約22歳なのに…
21年4月時点の将棋界は、渡辺明名人(棋王・王将)、豊島将之竜王(叡王)、藤井王位・棋聖、永瀬拓矢王座の4人がタイトルを保持して「4強」と呼ばれていた。藤井は2つのタイトルを防衛した上、叡王、竜王、王将を順に獲得して、19歳6カ月で史上最年少の五冠王になった。藤井は5つのタイトル戦を18勝3敗(勝率0.857)と圧倒。ストレート勝ちも3回しており、先述の対戦成績にも影響している。