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「圧倒的に男子が強い」ボートレース界で遠藤エミ“女子初のSG制覇”はどれほどの偉業なのか? 現役記者「運だけでは100%勝てない」 

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山内翔太

山内翔太Shota Yamauchi

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photograph byJapan Motor Boat Racing Association

posted2022/04/19 17:00

「圧倒的に男子が強い」ボートレース界で遠藤エミ“女子初のSG制覇”はどれほどの偉業なのか? 現役記者「運だけでは100%勝てない」<Number Web> photograph by Japan Motor Boat Racing Association

ボートレースクラシックで女子選手初のSG制覇を成し遂げた遠藤エミ。現役記者も「生きているうちに見られるとは……」と驚くほどの快挙だった

 とはいえ、「クラシックの遠藤はエンジンにも展開にも恵まれたよね」という言葉だけで片付けてしまうのはいささか軽率ではあります。少なくとも現在のSGは幸運だけでは100%勝てません。トップクラスの男子がエース級の“超抜モーター”を引いても、勝てないことが多々あるのがSGというランクです。とみに近年は全体のレベルが上がっていることもあって、優勝するためには些細なミスも許されない。

「失敗するのでは…」不安を払拭した強靭なメンタル

 今となっては大変失礼な話ですが、クラシックの予選で遠藤選手が1着、3着、1着ときていた段階でも、記者としては「どこかで失敗するのではないか」と思っていました。男子のトップレーサーであっても、取りこぼしは少なくないですから。もちろんレースの展開や番組編成が有利に働いた部分もあったことは確かです。ただ、その有利をしっかりとモノにするのがどれだけ難しいか。あらゆる要素を勘案したうえで、やはり「勝ち切った遠藤選手がすごい」と言うほかないと思います。

 実際、これまでのSGでも女子選手がエース級のエンジンを引くことは多々ありました。それでも、多くの場合は予選突破さえままならなかった。その点、いまの遠藤選手は、調整力に関しても群を抜いていると思います。クラシックは気象条件が連日大きく変動するなかでの開催でしたが、どのレースもペラ(※モーターにつけるプロペラ。ミリ単位の角度の違いがボートの動きに大きく影響を与える。ボートレーサーたちは状況に合わせて、自らペラを叩いて調整する)をぴったりと合わせていました。

 個人的には危なげなく逃げた優勝戦よりも、前づけが入って全艇スロー(通常のスロー3艇・ダッシュ3艇の構図ではなく、1~6号艇まですべての選手が前につけた状態。助走距離が短くなり、スタートが難しくなる)になった準優勝戦を勝ち切ったのがすごいな、と。僕らのような常人には感じられないほどの重圧があったはずですし、本人も「めちゃくちゃ緊張した」と言っていましたけど、1号艇から完璧なスタートを切って、「外がなにもできない」というレースをした。よくベテランの選手たちが「ボートはメンタルスポーツ」と言うのですが、本当にメンタルが強靭だなと感服しました。

【次ページ】 オールスターでも「女子vs男子」の熱いバトルに注目

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