ほかに、ルーキー・桐敷拓馬の起用法にも疑問が残りました。先発から中継ぎへの転換、藤浪晋太郎の代役で急遽先発登板まではわかります。でもそこで2回2失点で降板したからといって、「本来のボールではない」（矢野燿大監督）という理由で二軍に降格させられるのは……。裏で別の言葉をかけているかもしれませんし、メディアに出ている情報だけで判断できませんが、振り回された選手にかける言葉としては少しさみしく感じました。

ドラフト3位で入団したルーキー・桐敷拓馬 ©Kichi Matsumoto

3）「5勝4敗」の繰り返しで、5割を目指せ

　では今シーズンのAクラス入りは不可能なのか？　そう思われるかもしれませんが、ひとつ希望のあるデータを紹介します。今後、9戦ベースで5勝4敗でいけば、8月中に勝率5割に復帰します。セ・リーグの他チームを見ても力の差は感じませんし、このままもつれて進んでいく可能性は大いにある。一気に連勝して挽回を目指すより、目の前の一戦に集中して、1つずつ積み重ねていく。そうすれば、シーズン中盤で上位争いに加わっているかもしれません。

　これは余談ですが、矢野監督にはウソでもいいので「退任発表」を撤回してほしいんですよね。実は矢野監督も私も現役だった2003年、日本シリーズ開幕前日に、星野仙一監督が退任を発表しました。矢野監督がどう感じていたかはわかりませんが、少なくとも私は動揺した覚えがあります。だからこそ思うのです。先を見据えて強いチームを一緒に作り上げていく雰囲気があるほうが、選手も戦いやすくなるのでは、と。（構成：田中仰）

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