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「無理に競うことはしないし、人と比較して自分が一番という価値観はもういい」“華麗すぎるキャリア”を持つ山口真由がランで得た新たな気付き
posted2022/05/12 17:00
text by
吉川明子Akiko Yoshikawa
photograph by
Miki Fukano
華麗すぎるキャリアの一方で、人間味あるキャラクターにも注目が集まっている。そんな山口さんが、コロナがきっかけでランニングを始めたという。走り始めたことで、得たもの、気づいたものとは――?
わーっとなった時なんかは「30分走って帰ってこよう」
コロナ前はジムに通っていたんです。生活の目安になりますし、ジムで汗をかくのが好きなので週4くらいで通っていたけど、コロナで行きづらくなって……。それで、ジムに行けない日に走り始め、今では毎日走るようになりました。家を出てすぐトレーニングできちゃうのもいいですよね。私、運動神経はすごく悪かったんですけど、1000m走だけは早かったんです。社会人になってからは全く走っていなかったのですが、いざ走り始めたらすごく楽しいなと。
コロナ禍で、自分が変わっているのか、世の中が変わっているのかが分からない曖昧さがあり、ストレスが増しました。毎日違う場所に行き、「コロナ」「ウクライナ」「小室圭」みたいに、いろんなことをわーっと詰めてはアウトプットしていて継続性がない。頭蓋骨の中で脳みそがどんどん膨らんでいくような圧迫感もありました。でも、走っていると足元の大地は確かなもので、必ず反発がある。地面は動かないから、一歩ずつ絶対、確実に前に進める感覚も心地よかったんです。
家で仕事をしていてわーっとなった時なんかは「30分走って帰ってこよう」というときもあり、走るとなんとかなる、発散できてなんとかなる、と思えて、走ることが自分の精神面でも大事なものになっていきました。
同じコースを走っているから身体の変化に気づきやすい
コースは決まっていて、ここからスタートして、あの壁に手をついたら帰ってくる、という感じ。約5kmを35分以内で走ります。30分だと体調が良くて、35分の日はちょっと体が重たい時。同じコースを走っているから、そういうことにも気づきやすい。体が重かった日は「今日早く寝なきゃ」と思ったり。
今日はすっごい疲れている、という日もあるけど、走り始めると意外と走れるもので、体が覚えているというのも私にとっては心地いいですね。私は昔から勉強も手が覚えるほど反復を続けてきたので、それと同じように体が覚えているというのはものすごく安らぐんですよ。体が覚えているから、疲れていても体が勝手に動いて帰ってこられる。こんなに楽なことはないよね、というのがすごくいい。