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阪神監督待望論も「全くないです。できたらやりたくない」…鳥谷敬が語る、“縁のない”社会人野球コーチを選んだ理由《サンモニ解説も話題に》 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2022/03/30 11:01

阪神監督待望論も「全くないです。できたらやりたくない」…鳥谷敬が語る、“縁のない”社会人野球コーチを選んだ理由《サンモニ解説も話題に》<Number Web> photograph by Wataru Sato

昨シーズンをもって現役を引退した鳥谷敬氏。セ・パ両リーグ経験者のレジェンドが、社会人野球コーチを選んだ理由とは?

「プロ野球選手は個人事業主として、自分がどうやったら試合に出られるか、活躍できるか、ということでやっていますが、社会人野球はそれだけではない。個人プレーとチームプレーのバランスや距離感がプロと違うので、そこも興味深いです」

技術面よりも「精神的な部分を伝えていけるといい」

 社会人野球からプロ野球選手を夢見る選手に、伝えられることもある。

「野球に関して、技術的なことは正解がないと思っています。それより考え方ですかね。成功する人の思考を、周りで沢山見て、感じてきたので、精神的な部分を何か伝えていけるといい。何かひとつ挙げるとしたら? 自分自身でこれを続けていこう、極めていこうとする信念でしょうか。自分の信念を最後まで貫ける選手が長くプレーしたり、活躍できていると思います」

 ファンが気になるのは、今後鳥谷氏が指導者としてプロ野球に戻ってくるかどうかだろう。現役引退後、プロ野球のチームから指導者のオファーはあったのか。 

「いや、ないです。そもそも、すぐに(プロで)コーチをやるという感覚がなかった。他の世界を見ていかなければいけないし、実際、自分が指導者として向いているか、ということすら分からないので。そういう意味でもパナソニックでやってみて、向いてないと思えばやらなければいいだけのこと。プロ野球で指導者になるための準備ではなくて、自分の向き不向きを見つけたい、という意味でやらせてもらっています」

いずれは阪神のコーチ&監督に…!? 

 特に16年間プレーした阪神のファンからは、いずれはコーチ、そして監督に、という熱望の声もある。鳥谷氏にそのビジョンはあるのか。

「全くないです。できたらやりたくないですね。選手が活躍できるように、チームが良くなる方向に導ける人がやるべきだと思っているので、自分がどっちか分からない状態でやるのは失礼。向いてないけれど、(人に)言われたからやろう、という感じではないです。それが見えてきて、自分でできると思えばやりたいという気持ちが持てるかもしれませんが……現時点ではそれすら分かってない。今のところプロで指導者をやりたいという思いはないです」

 ユニフォームを脱ぎ、スーツに身を包んでの“新シーズン”は、まっさらな状態からの挑戦になる。 

「野球選手としての自分はわかっているんですけど、それ以外の部分は自分自身もよく分かっていない。次の自分の向き不向きを探す作業を、何年かかけてやっていこうと思っています」(つづく)

#2に続く
データ偏重にレジェンド鳥谷敬が抱く“大きな不安”…「全てが予想できてしまうかもしれない」「選手の成長を妨げている部分も」《新たなDH制も提言》

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