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「奥川、高橋は本当に上手い。でもウチだけじゃなく…」ヤクルト高津監督53歳が本音でホメた“他球団、2人の高卒3年目ピッチャー”とは?
posted2022/03/17 17:04
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Nanae Suzuki
「今年のテーマは謙虚に、明るく、元気よく!」
日本一になったヤクルトの高津臣吾監督は、2月末、沖縄にて柔らかな表情で話してくれた。
オリックスとの日本シリーズの激闘を制したのは昨年11月27日のこと。
「これだけオフが短いのは、史上最短なんじゃないかな? あれだけ消耗するシリーズだっただけに、主力のコンディションはたしかに心配ですけど、開幕には合わせてくるでしょう」
監督からは、基本や、土台といった「礎」に関することがたくさん聞かれた。
「また、イチからのスタートですからね。調子に乗ってる場合じゃないし、選手たちには勝ったからこそ、悔しさを忘れないで欲しいと伝えました。今年は基礎、基本、徹底といった地味なことをやっていきますよ」
3月に入ってからのオープン戦では、6試合での得点がわずか3点。11日に神宮に戻ってきて、ようやくエンジンがかかってきたのか、ソフトバンク相手に4点、11点、5点を取って打線が上向いてきた。
監督は、「オープン戦の結果というのは、実はそれほど気にしないものなんです」と鷹揚に話す。たしかに昨季は、オープン戦では12球団中の最下位。そこから日本一になったのだから、Aクラスに予想した評論家の面々がスワローズOBに限られていたのもうなずける。
「オープン戦はレギュラーの選手たちが最後まで出るわけじゃないからね。シーズン中の戦い方とはまったく違うけれど、ただ、控えの選手たちのレベルアップの場ではあります。今年はそのあたり、期待したいところ」
今季期待されるヤクルトの若手選手は?
1990年代、日本一と4位を繰り返したヤクルトにとって、連覇は悲願。では、そのために必要なものはなにか?
「キャンプ、オープン戦の状態を見ていれば、選手たちはしっかりやってくれると思います。でも、それだけじゃダメ。僕がしっかりとした戦術を採る。そして、若手の育成も図っていく。これが重要」
高津監督は目の前の勝利と、将来を担う若手の育成の「二兎を追いたい」と話す。
「昨季のタイガース、特に前半戦は勢いがあったじゃないですか。あれは“新人効果”だったと思うんです。佐藤輝明選手、中野拓夢選手が底上げして、チームが活気づいてました。各球団、良い選手がいっぱい出てきて、隣の芝生は青く見えちゃって。でも、スワローズもいい選手がいますから」