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プロ野球スカウト「センバツでブレイクするのでは?」昨夏4強の京都国際“もう1人のエース”が覚醒の予感…ドラフト候補・森下も驚く素顔とは 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2022/03/17 06:00

プロ野球スカウト「センバツでブレイクするのでは?」昨夏4強の京都国際“もう1人のエース”が覚醒の予感…ドラフト候補・森下も驚く素顔とは<Number Web> photograph by Yu Takagi

ドラフト候補として注目される左腕・森下瑠大(左)と切磋琢磨して成長してきた平野順大(右)。ダブルエースで初の日本一を誓う

 高校入学後も、豊富な練習量と「常に目的を持って練習している」という質を合わせて著しい成長を遂げている。

 1年秋からは森下とともに投打双方でチームに欠かせない存在になっており、2年春のセンバツは背番号「1」を奪取。甲子園では春夏で3試合に登板し、3試合14回を投げて自責点4と安定した投球を見せた。

 昨夏から「1」を森下に譲るも、打線では中軸を担った。甲子園では通算23打数5安打と本領発揮はできていないものの、昨秋の公式戦打率は.423と好調で3季連続の甲子園出場に大きく貢献。

 秋は投球で不本意な内容が続いたが、山本由伸(オリックス)の動画を参考にフォームの修正を図り、ここにきてキレのあるボールに強さが増している。

昨夏甲子園で“やらかし”「あんな真面目なのに」

 平野を語る上で欠かせないのは、“天然”エピソードの数々だ。

 森下によると寮の風呂で「こないだシャンプーの泡がついたまま、湯船に入ってきました」と話す。本人いわく「誰かと喋っているうちに流すのを忘れてしまった」ということだが、試合直前に“やらかす”ことも何度かあった。

 小牧憲継監督も「あんな真面目なのに、ホンマに忘れ物が多い」と笑う。1年秋の公式戦ではスパイクを忘れたため他人のスパイクを履いて完封し、昨夏の準々決勝の敦賀気比戦ではグラブを忘れたが5回無失点の好投を見せた(グラブは部長が慌てて取りに帰り、試合開始には間に合った)。

 普段は天然な憎めない性格で語り口も穏やかだが、「ピンチでは当たって砕けろという気持ちでいます」「ストレートを打たれたら、もう1回ストレートを投げて抑えたくなる」と話すように、内に秘めた闘志は凄まじいものがある。加えて、日頃の練習では「森下がいるから成長できます。負けないようにと頑張れます」とライバルの存在が成長を促した。

【次ページ】 絶対にマウンドを譲りたくない

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