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サイコロで勝敗が決まる? 人気団体が “脱プロレス”で見せる女優たちのチャレンジとは…エース青野未来「エンタメだけど闘いがある」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/03/15 17:03

サイコロで勝敗が決まる? 人気団体が “脱プロレス”で見せる女優たちのチャレンジとは…エース青野未来「エンタメだけど闘いがある」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

新生アクトレスガールズでは中心選手として活躍する青野未来(右)

いきなり“大番狂わせ”を起こした「サイコロ」

 ただ言えるのは、選手たちがすこぶるつきで魅力的だということ。芸能界からの挑戦だからなのだろう、一様に“見せる”意識が強い。高度な技、派手な動きでなくとも華がある。

 旧体制でタッグチャンピオンだった青野未来は、先輩たちが大量に“卒業”したこともあり、新体制ではエース格。さらに頼もしさを増している。またアクトレスガールズでは演劇公演「アクトリング」も開催しており、そこに出演している役者たちも次々と「アクトレスリング」デビュー。

 その1人である皇希は長身を活かしたダイナミックな動きが目を引く。立ち姿の美しさはクラシックバレエの経験からくるものか。福田茉耶は1歳から芸能活動を始めアイドル経験も。同時に伝統派空手のジュニア世界大会で入賞している。組手では2位と3位、型の部では優勝を収めた。現在は田村潔司のもとで格闘技を学び、新興団体GLEATの格闘プロレス部門LIDET UWFにも参戦。MMA出場も視野に入れているというから楽しみだ。アクトレスリングでも、その鋭い蹴りで観客をどよめかせた。

 2月20日の新木場1stRING公演からは、いくつかの試合が「ポイントマッチ」として実施された。事前に決めたポイントで勝敗を決する試合。ポイントも試合後に公開される。

 タッグのポイントマッチでは“新人”の皇希が澄川菜摘にフォール勝ち。澄川は長いブランクがあるものの、プロレスラーとしてスターダムでデビューし宝城カイリとタッグベルトも巻いている。皇希の勝利は従来のプロレスで言えば大番狂わせだ。ただ、この勝敗は最終的に「運」ポイントで決まった。つまりサイコロの目。新体制のアクトレスガールズでは、そういうこともあるわけだ。もちろん「実力」や「努力」のポイントが僅差だったからこその「運ポイントで逆転」なのだが。

青野「エンターテインメントだからって闘いがないわけではない」

 この新木場大会、青野は入江彩乃とのシングルマッチに勝利している。ポイントはサイコロで入江が追いつき同点。そのためキャリアが上の青野の勝ちに決まった。

 リング上で見せているのはパフォーマンスであって、選手同士は“敵”ではない。だから試合後のコメントも対戦相手と一緒だ。入江はポイントマッチについて、こんなふうに語っている。

「未来さんと点数の面でけっこう競れていた自分にビックリしました。サイコロしだいで自分が勝つかもしれなかったので。今まで、実力でいったら未来さんには到底かなわなかったんですけど。でも頑張っていかないと後輩に追い抜かれてしまうかもしれないんですよね」

 これまでの「プロレス」とは違うにしても、やはりそこには勝敗がある。選手は「勝ちたい」と思って練習に励む。この気持ちに変わりはないと青野。

「本当に闘いですね。やっぱり絶対に負けたくない。みんな女優なので負けず嫌いですね。それを練習から感じてます。エンターテインメントだからって闘いがないわけではなくて、私たちなりの闘いがあります」

 第1回公演のメイン、タッグマッチで青野と対戦した茉莉は、勝ちたいという気持ちはプロレス以上かもしれないと言う。

「プロレスラーと同じかそれ以上の技術を持ちたいというのが前提なんですけど……トレーニングして努力しただけでは勝てないので。板の上でパフォーマンスする女優さんとしても今まで闘ってきて、そういう部分も含めての評価で勝ち負けが決まる。そうなると普通に(プロレスを)やって負けるより悔しいかもしれない」

【次ページ】 必死になってカウント2で返すのは何のためか

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