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「短期間で世界はこんなに変わるんや」石川祐希とのセリエA日本人対決を終えた高橋藍が心境を語る《胃がん告白の藤井直伸への想いも》 

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高橋藍

高橋藍Ran Takahashi

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posted2022/03/10 11:01

「短期間で世界はこんなに変わるんや」石川祐希とのセリエA日本人対決を終えた高橋藍が心境を語る《胃がん告白の藤井直伸への想いも》<Number Web> photograph by Ran Takahashi

世界最高峰と言われるイタリア・セリエAで、石川祐希が所属するミラノと対戦したパドヴァの高橋藍。「やっと会えた」と日本人対決を振り返った

 スパイカーとして経験を重ねたいのはもちろんですが、世界の高さやレベルといった技術面に加え、これからも日本代表で活躍し続ける選手になるために、リーダーシップを発揮し、チームの軸と言うべき選手になりたい。

 ならばそれはアタッカーとしてだけにこだわるのではなくどのポジションでも同じ。むしろリベロはチーム内でも一番声を出し、周りを動かし、盛り上げなければいけない。

  そこで自分のレシーブ力が活かせるならばチームの力にもなるし、スパイカーとして途中出場するよりもリベロとしてフル出場できるなら、それは絶対に自分のためにも、この先また日本代表でプレーする時にも絶対にプラスになる。そう思いました。

 何より本音を言えば、少しでも長く石川選手と日本人対決をしたかった。リベロとしてフル出場できるならばそれも叶うかもしれない。監督に「自分がリベロとして、チームを引っ張ります」と答え、リベロとして中学1年生以来の試合に臨みました。

ネットを挟んで痛感した石川のすごさ

 順位でもパドヴァを大きく上回るミラノはチームとして安定していて、全員が落ち着いてプレーをしています。確実な勝ち方を知っているチームで、石川選手はやっぱりすごかった。それほど打数は多くありませんでしたが、1本1本を確実に得点へつなげてきますし、イタリアでのシーズンはもう7年目、落ち着いて、自分のスタイル、プレーを出す安定感がありました。日本代表でやっていた時以上に「すごいな」と思わされましたし、もっともっと自分も頑張らなければいけないと感じさせられました。

 試合は0対3のストレート負け。悔しさよりも僕は正直楽しさが上回った試合でしたが、しいて言うならば石川選手にサーブで狙ってほしかったですね(笑)。リベロだし、狙わないだろうな、とは思っていました。実際Aパスを返してもサービスエースを取られても嫌だったと思いますが(笑)、打ってきてほしかったし、返したかった。

 イタリアに来て石川選手にやっと会えた嬉しさはもちろん、海外のトップ選手が集う場所で日本人対決ができるというのは刺激しかなく、1本拾えた、拾えなかったという時の感情、悔しさも全然違いました。今はまだ人数も少ないですが、これからさらに日本人選手が増えて、この環境でバチバチ戦い合えたら、もっと日本のレベルも上がるはずです。

 試合後、少し話をする時間もあり「本当にイタリアにいたんですね」と冗談を交じえながらも、石川選手からは「次の試合がめちゃくちゃ大事だね」と言われました。その大事な次戦の相手はビーボ。今度は西田選手との対戦、日本人対決です。僕らは残留する可能性を高めるために、勝利が絶対条件になります。

 西田選手のスイッチが入ったサーブは尋常ではないエグさですが(笑)、絶対に狙ってくると思うので、僕も負けずにAパスを返せるように頑張ります!(笑)

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