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「短期間で世界はこんなに変わるんや」石川祐希とのセリエA日本人対決を終えた高橋藍が心境を語る《胃がん告白の藤井直伸への想いも》
posted2022/03/10 11:01
text by
高橋藍Ran Takahashi
photograph by
Ran Takahashi
短期間で世界はこんなに変わるんや、と思わされた1カ月。イタリアにやってきた頃には想像もしなかった出来事が、この短い時間の中で、いくつもありました。
セリエAも中盤から終盤に差し掛かり、多くの熱狂的なサポーターの応援、声援を受けながら試合ができる日常は変わりません。でも、(ロシアによるウクライナ侵攻に反対して)試合前や試合後、選手たちが「NO WAR」とメッセージを発信しています。そんな事態が訪れることなど、日本にいる頃は想像もしていませんでした。
まず大前提として、僕は戦争をしていた時代を経験していない、でも戦争はすべきでないことはわかる。軽はずみなことは言えないとわかっていますが、今イタリアにいて、さまざまなニュースを目にする機会も増えました。これからの状況次第では、日本に無事帰れるのかどうかすらわかりません。本当に深刻な問題であることは日に日に強く感じています。
目の前の試合に全力を尽くすだけ
パドヴァにはイタリア人だけでなく、ドイツ人、カナダ人、ブルガリア人、そして日本人の自分。さまざまな国籍の選手がいますが、人間はみんな一緒だ、とイタリアに来て、いろいろな出来事を通してそう実感しています。
単純な考えかもしれませんが、だからやっぱり戦争はダメだし、やってはいけない。軽はずみに偉そうなことは言えませんが、僕はそう思います。
本当は今年ロシアで開催されるはずだった男子バレーの世界選手権も会場が変更になりました。どこで開催できるのか。その前にネーションズリーグはどうなるか。先のことを考えるとわからないことばかりですが、イタリアではこれまでと同じようにリーグ戦が行われ、コッパ・イタリアも開催されました。僕がやるべきことは、目の前の試合に勝つために自分の力を尽くす。今はそれだけだと思っています。