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センバツ “聖隷クリストファー落選問題”、今も納得できない一番の理由…高野連・毎日新聞の「詳細な内容は公開に馴染まない」に指導者から異議続出
posted2022/03/04 06:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
モヤモヤが消えないのは、高校野球ファンだけではないはずだ。
3月18日に開幕する第94回センバツ高校野球大会の東海地区の出場校を巡る騒動。昨秋の東海大会準優勝の聖隷クリストファー(静岡)が落選し、大垣日大(岐阜)が選出された問題だ。
春の大会は夏とは違い予選がない「招待試合」というのが建前である。だからある意味、主催の日本高等学校野球連盟(高野連)と毎日新聞社が、恣意的に出場校を選ぶことができる大会でもある。だからこそ21世紀枠という選考枠が生まれ、野球とは全く無関係に出場校が選ばれてもいる。
ただ、21世紀枠と神宮大会枠を除く28校は、「予選ではない」はずの秋の地区大会の成績が色濃く反映される。今までも決勝で大敗した準優勝校と、優勝校に接戦で敗れた4強止まりのチームが入れ替わることはあったが、基本的には地区大会上位校が選ばれてきた。だから昨秋の東海大会を制した日大三島(静岡)は選ばれ、聖隷クリストファーも選ばれるはずだった。
しかし、逆転は起こった。
落選の理由が騒動を大きくした
地区大会4強止まりの大垣日大が選ばれ、決勝戦で惜敗した聖隷クリストファーが落選した。そして「個人個人の力量で勝る大垣日大か、粘り強さの聖隷かで選考委の賛否も分かれましたが、投打に勝る大垣日大高校を推薦校とします」(鬼嶋一司選考委員長)と用意された理由が、今回の騒動を大きくした原因なのは言うまでもない。
例えば「地域性を考え、静岡から2校は避けた」と言われれば、仕方ないと諦めもついたかもしれない。しかし選考委員は「地域性は全く考慮しなかった」とむしろこれを全否定し、あくまで甲子園大会で勝てる投手力のある大垣日大を高く評価したと説明する。
一方で東海大会で見せた走塁妨害を故意に誘うようなプレーなど、聖隷クリストファーの野球スタイルが問題になったのでは、という報道も一部に出た。そういうプレーを頭脳的と考えるのか、それともフェアプレー精神に反する高校生らしくないものと思うのか。そこも賛否両論はある。明確にその点が理由と分かれば、むしろそれはそれで一つの論議の土俵はできたはずだ。ところが取材をすると、選考会ではそうしたプレースタイルの論議も、一切なかったという。