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「飛距離は金で買え!」1本5万円と高級化する草野球の“飛ぶバット”事情《ビヨンドマックス20周年》 

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田澤健一郎

田澤健一郎Kenichiro Tazawa

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photograph byKenichiro Tazawa

posted2022/02/11 06:00

「飛距離は金で買え!」1本5万円と高級化する草野球の“飛ぶバット”事情《ビヨンドマックス20周年》<Number Web> photograph by Kenichiro Tazawa

ビヨンドマックスレガシーを愛用する楢木真隆さん。年間100試合をこなす趣味人で道具へのこだわりも強い

 そもそも、レガシーについては発売予告からミズノの並々ならぬ気合いを感じた。レガシーの発売は2020年12月。実はその4カ月前の8月、アシックスが前述の「レガートゼロ」、通称“レガゼロ”を発売。自転車のタイヤのように空気を注入することで圧倒的かつ自分好みの反発力を調整できる斬新なギミック(とその価格)が、草野球人たちに衝撃を与えていた。「果たしてこれは買うべきか?」と逡巡する草野球人たち。レガシーの発売予告が出たのは、まさにそんなタイミングだった。

「レガシーのリリースは発売2カ月前の10月。あれはミズノがレガゼロを潰しにきたな、と感じましたね~」と語るのは楢木真隆さん(39歳・年間試合数約100)。道具にこだわるタイプで、かねてより複合バットを愛用。レガシーに「ビヨンドマックスの久々となる大リニューアル」と感じ、購入を決心した。とはいえ5万円はやはり大金。だが、楢木さんには「アテ」があった。

「高級バットって元の値が高いからかメルカリで中古がけっこう売れるんです。だから、持っていた複合バット(ビヨンドマックスギガキング02)を売り、他にもいくつか道具を売って資金を作りました」

 ちなみに妻には価格を伝えていないという。賢明な判断だろう。

 それにしても中古が人気というのは、やはり「欲しいが新品を買うのが金銭的に厳しい」という層の多さを感じる。他にも何人かレガシー所有者に聞いたが「タイミングよく、ちょっとした臨時収入があって……」(秋山匠さん・46歳・年間試合数約40)と幸運に恵まれたケースも少なくない。「普通にポケットマネーで買いましたよ」というエレガンス宮本さん(48歳・年間試合数約140)のような人もいたが、余裕のコメントの裏には「20年使っていたグラブがボロボロになったので、最近、中古で900円の物に買い換えました。僕、バット以外にはお金をかけないんです」という草野球ポートフォリオの工夫があった。

高級バットを共同所有するという選択

 また、北爪貴之さん(48歳・年間試合数約30)はレガゼロを発売直後に購入。

「ただ、バットってその人に合う合わないもあるから、1人で5万円を出すのはリスキー。そこでチームに声をかけ、みんなでワリカンすることにしたんです。結果的に14人が賛同。1人3000円を出し合い、不足分は監督に許可をもらって部費を充てました。その後、すぐにレガシーが発売されたのは複雑でしたけど(笑)」

 こんなふうにチームで購入したというケースも多いだろう。

 実はバットと同時に軟球も技術開発が進んでいる。現在の主流であるM号球は従来の軟球よりも硬くなり、打撃時の変形をかなり抑えてくれるため、こちらも「飛ぶボール」となった。

「飛ぶバット」と「飛ぶボール」の組み合わせで、現在の軟式野球は長打が増加。草野球でも柵越えホームランを見る機会が増えた。「フライはかなり飛ぶ気がします」(楢木さん)「ライナーがイメージよりもうひと伸びする」(エレガンス宮本さん)「弾きが違いますね。パワーがない僕でも詰まったと思った打球がヒットになったり」(秋山さん)と購入者も恩恵を実感している様子だ。

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