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“キャンプ直前”なのにロックアウトが終わらない…「何もない」鈴木誠也(27)が受け継ぐ野茂&松井の“超一流のメンタリティー”とは
posted2022/02/08 06:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
バッテリー組のキャンプインが予定されている2月16日が刻々と近づいている。だが、依然としてMLBはロックアウトが継続している。
そのため、日本人選手ではマリナーズからフリーエージェントとなった菊池雄星と広島からポスティングシステムでメジャー移籍を目指す鈴木誠也の所属先がいまだに決まっていない。1日も早くスッキリとした気分になりたいというのが当事者たちの思いであろうが、こればかりは自分の意志ではどうにもならない。
そんな折り、鈴木誠也は1月末に9年間在籍した古巣へ挨拶に出向いた。そして、自身の進捗状況を説明した。
「本当に(ロックアウトで)何もないんだなというくらい何もないです」
そして、思いのほども口にした。
「でもいつかは終わるので。逆にこっちが終わると思っても終わらない」
この言葉をネット上で目にし、27年前のことを思い出した。
「いつかは終わりますから」
27年前、先駆者・野茂英雄が発した“同じ言葉”
95年3月初旬、フロリダ州ベロビーチでのことだった。
先駆者・野茂英雄は夢であったメジャーへの挑戦を現実のものとした。だが、当時はストライキの真っ只中。ドジャースのキャンプ地に40人枠に入るメジャーリーガーはひとりもおらず、参加しているのは全員がマイナーリーガーだった。ストライキ解除後には招待選手としてメジャーキャンプに参加できる立場ではあったものの、モチベーション維持は難しいのではないか。そんな思いで聞いた際の返答が「いつかは終わりますから」だった。
確かにストライキ解除に向け自身でできることは何もない。それでも心揺れることなくトレーニングに集中できるメンタリティーに敬服した記憶がある。
それから8年後。日本の本塁打王と大きく期待され、メジャーで最もプレッシャーが多いとされる伝統球団、ニューヨーク・ヤンキースに移籍した松井秀喜からはこんな言葉を聞いた。
「自分がコントロールできない部分を気にしても仕方ないですから。自分がコントロールできる部分に集中するだけですね」
超一流選手のメンタリティーとはこういうものか。泰然自若、不動心。ふたりのレジェンドがともに語った言葉が鈴木誠也のそれと重なった。