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大谷翔平にそっくり? ライオンズの人気者“191cm”渡邉勇太朗(21歳)がお手本にした「一番乗りの内海さん」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph bySankei Shimbun
posted2022/01/26 17:02
昨季、プロ初勝利を挙げた渡邉勇太朗。生まれも育ちも埼玉とあって、ファンからの期待も大きい
「2021年シーズンに関しては、自分が投げたいボールを投げられているときは抑えられたので、対戦相手どうこうというより、自分自身の問題だと感じました。打たれるとき、失点するときは、ほぼ自分のボールが投げられていなかった。とにかく登板する際にはいつでも自分のボールを投げられるよう、いちばん合う調整方法を見つけることと、それを確立することが大事だと思います」
渡邉にとって、生命線ともいえるストレートに力があるとき、そして、それがコントロールできているときは、自信を持ってマウンドに立てたと振り返る。
そのストレートだが、高校時代の球速のMAXは149キロ。ただし渡邉自身はプロ入り以降、ずっと物足りなさを感じていたという。
「平均スピードが140キロ中盤で、いまひとつ伸びてこなかったんです。この身長なら本来、150キロ以上出ても全然おかしくないのに、なぜだろうって考えて……」
そこで、肉体改造を決意。2021年、春季キャンプを終えたころの体重は90kgで、公式記録も91kgだが、シーズンに入ってからは筋肉量を増やすことを目的に上半身、下半身ともにウェイトトレーニングを増やした。食事にも気を配り、その成果もあってシーズン終盤には97kgまで増量した。
「そうしたら自然と球速が上がりましたし、何よりボールに強さが出始めました。多少、甘いコースでもファウルを取れるようになりました。増量してよかったと思っていますし、体重と筋肉量を更に増やすためのトレーニングを今オフも続けました」
ヒントになったベテラン内海の存在
同時に、渡邉の場合、体のキレの良しあしを判断するバロメーターとなっているのがランニングなのだと話す。そう考えるきっかけとなったのが、19年にライオンズに移籍してきた内海哲也の存在だ。
「内海さんには『今ちょっとバランスが悪くなってるよ』などと指摘していただいて、フォームに気をつけながら走っています。体重を増やした中でもしっかりと走れる体を作っていきたいですね。そこをしっかり1年間やっていかないと、1シーズン、先発ローテーションを守れないと思いました」
内海と渡邊は18歳、年齢が離れている。そんな大ベテランに教えを乞うのには、最初は勇気が必要だったのではないだろうか?
「いえ、それはないですね。内海さんは気さくな人なので……。内海さんとは最初、トレーニング室でよく顔を合わせていて、そのときに内海さんと同い年のトレーニングコーチから『いろいろ姿勢を見習ったほうがいいよ』と言われて、話すようになったのがきっかけです」