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[鈴木明子が語る衝撃の完成度]カミラ・ワリエワ「4回転を跳ぶバレリーナ」

posted2022/01/08 07:05

 
[鈴木明子が語る衝撃の完成度]カミラ・ワリエワ「4回転を跳ぶバレリーナ」<Number Web> photograph by Nobuaki Tanaka

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph by

Nobuaki Tanaka

今季シニアデビューするや、完成された技術と表現力で金メダル候補に躍り出た15歳。“絶望”とも呼ばれる異次元の強さの秘密を、五輪連続入賞の先駆者に聞いた。

 今季のカミラ・ワリエワ選手をひと言で表すなら、やはり「圧倒的な強さ」だと思います。ジュニアのときから比べて身長も体型の面でも成長しているなかで、それに対応する身体作りがうまくいったというか、ジャンプはより安定度が増していますし、あれだけ高難度のプログラムをやっていても、最後までスピードも落ちないで滑り切れている。様々な面で、ここ1年で進化した印象を感じています。

 個々の技術について言うと、まずジャンプはとにかく軸が細い。それとすべてのジャンプで両手を上げて跳びますが、その分、軸が長くなるので本来ならよりブレやすくなります。ですが彼女は体幹の強さと、空中での軸のとり方、バランス感覚にも優れているので安定している。たとえ跳び上がる時にまっすぐいかず多少ヨレたとしても、きちんとランディングに持っていく体幹の強さはすごいです。さらに脚力から来る高さもあり、あとは身体の連動性、足首から膝、股関節、手の動きまで効率よく連動できているからこそ、ジャンプが安定するのかなと私は見ています。

 近年はアレクサンドラ・トゥルソワ選手やアンナ・シェルバコワ選手など、ロシアから4回転ジャンパーが次々に現れています。トゥルソワ選手は上に持っていく力が強くて、とても高さのあるジャンプを跳び、シェルバコワ選手は回転の速さが持ち味。それに対してワリエワ選手は高さと幅の両方があるジャンプが跳べます。4回転ジャンプの場合、高さや回転の速さを必要とするため降りてからつまりやすいのですが、スピードを活かしたままジャンプに入ってそれを高さと幅に変えて、かつ降りたあとも流れがあります。男子で言うと、羽生結弦選手に少し近いところがあるかもしれないですね。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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