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「シード権も危うい」の前評判も“してやったり”の往路2位… “3区職人”のエース、5区「山のペガサス」など帝京大を支えた4年生の力
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2022/01/02 20:55
5区区間賞に輝いた細谷翔馬。帝京大往路2位の立役者の1人だ
その采配がずばり的中。過去最高タイの総合4位となった前々回と同じような序盤の流れで、2区を終えて5位と好位置につけた。
そして、4年連続で3区に登場した遠藤が、またしても快走を見せる。
タスキを受けて勢いよく飛び出すと、2つ順位を上げて3位に浮上した。
「他の区間に使ってみたらどうかなとも考えたのですが、彼をゲームチェンジャーとして3区に起用することにはこだわりがあった。同じ区間に起用するとどうしても過去の自分と比較されるのでプレッシャーがあったと思うが、よく耐えてくれたと思う」(中野監督)
好位置でタスキを受けた遠藤は、さらにチームを勢いづけることに成功した。
ちなみに、遠藤といえば、厚底シューズ全盛のなか、これまでは頑なにミズノ社の薄底シューズでレースに臨んでいた。だが、競技者として臨む最後の大舞台では、試し履きをして好感触を得たことで、初めて同社のプロトタイプの厚底シューズを履いて走った。
5区で再び駆け上がった「山のペガサス」細谷
4区では順位を1つ落としたが、5区では前回同区で区間賞を獲得している細谷翔馬(4年)が、再び快走を見せる。
「『山のペガサス、ここに降臨。その名も細谷翔馬!』翔ぶ馬だけにね(笑)。
“山の神”とまではいかなかったかもしれないけど、この数年、5区で2年連続で区間賞を獲る選手がなかなか出てこないなか、そのジンクスを破って、よく走ってくれたと思います」(中野監督)
まさに“ペガサス”のごとく、箱根の山を駆け上がった。箱根山中で2人を抜き、見事に2年連続で区間賞を獲得した。
今季の細谷は、夏まではチーム内でも抜群の強さを誇っていた。しかし、秋に調子を落とし、出雲はメンバーから外れ、全日本では8区13位と振るわなかった。本人は言い訳にはしなかったが、深夜まで公務員試験の勉強をしていたことがパフォーマンスに影響していたのでは……とチームメイトが明かしていた。進路が決まったからこそ、最後の箱根には思う存分、力をぶつけることができたのだろう。
「上りも下りも含めて、しっかり出し切るということを考えてやってきた結果がこの結果につながったのだと思っています」(細谷)