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17歳でプロレスキャリアはもう5年…スターダムの未来を担う琉悪夏が明かした“同い年ライバル”との「エモい防衛戦」への思い 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2021/12/26 17:02

17歳でプロレスキャリアはもう5年…スターダムの未来を担う琉悪夏が明かした“同い年ライバル”との「エモい防衛戦」への思い<Number Web> photograph by Essei Hara

現フューチャー・オブ・スターダム王者の琉悪夏。同い年で誕生日も5日違いの羽南との防衛戦を前に「17歳のリアル」を語った

 練習をサボって行くあてもなくフラフラとさまよっていた琉悪夏は、ユニットも渡り歩くことになる。ジャングル叫女がリーダーだったJANがなくなり、TCSもなくなって、善玉のSTARSを経由してヒールの大江戸隊に移った。

「JANは楽しかったな。TCSはほとんどケガで欠場していたから活躍していない。STARSは『ええ、お前本当にSTARSだったの?』と言われるレベル。そして、たどり着いたのが大江戸隊。大江戸隊は楽しいよ!」

ようやく見つけた大江戸隊という居場所

 17歳にしてさまざまな経験を重ねてきた琉悪夏。しかしその口調は、常にあっけらかんとしている。

「何回もプロレスをやめたいって思った。本当にやめようと思ったのはSTARSにいたときで、今年(2021年)が始まる前にやめてやる、引退してやるって。年は越さない、1月1日にはもうプロレスラーじゃない、って。やる気がなくなって、練習も行かなくなって。『やめようと思ってます』と打ち明けたけど、説得されて、じゃあ、もう少しだけ頑張ってみようと思い直した」

 心機一転、環境を変えることを決めた琉悪夏は、今年2月に大江戸隊に入った。

「結局、STARSは向いていなかったのかな。私、キラキラとか絶対できないし、黒が好きだし。ピンクとか派手なコスチュームが着られないから、STARSでも黒だった。『ここじゃなくない?』って思って、裏切って初めて自分の居場所を見つけた気がする」

 大江戸隊に加入してから、琉悪夏は水を得た魚のように輝きはじめる。10月9日の大阪城ホールでは、20歳までの年齢制限があるフューチャー王座をウナギ・サヤカから奪い取った。

「今、こうしてベルトを持っているってことは、成長したってことだよね。これが答えでしょ。今なら『私は成長した』って自信を持って言える。STARSを裏切ったとき、いろんな人から批判されたこともあって。私、これでもメンタル弱いんで。でも、最近はもう大丈夫。ヒールだから、何も言われなくなったら終わりじゃない? って思ってる。最近は気にせず、自分を出せてるかな。でも、やっぱりSNSは苦手」

 SNSや周囲の雑音も力に変えようとしている琉悪夏は、成長期と青春時代がいっぺんに訪れたような充実した時間を過ごしていた。

【次ページ】 “普通の女子高生”への憧れも

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