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“若林のツッコミが強烈すぎた”オードリーに授けた助言とは? 渡辺正行が明かす「吉本以外の芸人がM-1で苦戦するワケ」

posted2021/12/18 17:01

 
“若林のツッコミが強烈すぎた”オードリーに授けた助言とは? 渡辺正行が明かす「吉本以外の芸人がM-1で苦戦するワケ」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

渡辺正行が主宰する『ラ・ママ新人コント大会』はオードリーやトム・ブラウン、ぺこぱなど多くのM-1ファイナリストを輩出している

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澤田将太

澤田将太Shota Sawada

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Yuki Suenaga

4分という短い時間に自分たちの全てを詰め込み戦うM-1グランプリは、年々その競技性を増している。もし、漫才をスポーツとして捉えるのなら、コント赤信号の“リーダー”こと渡辺正行は業界きっての名スカウトであり名トレーナーかもしれない。2005年から2017年の間にM-1審査員を6度務めた渡辺正行に、自身が主宰する『ラ・ママ新人コント大会』からスターダムへと駆け上がった芸人たちについて話を聞いた。(全2回の2回目/前編へ)

 過去6大会で審査員を務める渡辺は、東京の笑いの登竜門『ラ・ママ新人コント大会』というライブをおよそ月1回のペースで、35年にわたって主宰してきた。『ラ・ママ』に出演した“教え子”たちとは、M-1グランプリ決勝でたびたび再会を果たしている。

これまでに見てきた若手芸人の数は数千組

「敗者復活からオードリーが上がってきたときは、ちょっと感慨深いものがありましたね。だからといって贔屓はしないですよ。すごく面白くて高得点を付けましたけど、肩入れは絶対にしない。『THE MANZAI』で審査員をしたときはいつも見ていた磁石に票を入れなかったので、大会後に『入れてくれると思ったのに』って言われちゃいました(笑)。

 決勝進出で一番驚いたのはトム・ブラウンですね。その年は審査員をしていませんでしたが、テレビの前でドキドキしていました。『こいつら本当に大丈夫なのか?』って。あいつら、気合が入り過ぎると喉を潰すんですよ。練習の段階でも全力で声を出すんで(笑)」

 近年も2019年のM-1がきっかけで大ブレイクしたぺこぱや、今年決勝に進出したモグライダーが『ラ・ママ』の舞台を多く踏んでいる。このお笑い専用ではない小さな地下劇場は、ウッチャンナンチャン、バナナマン、ネプチューン、さまぁ~ず、バカリズム、東京03など、数えきれないほどの売れっ子芸人を輩出している。関東の芸人たちに場数を踏ませたのは、間違いなく『ラ・ママ』の功績だ。

「『ラ・ママ』のオーディションは大変ですよ。最近では各事務所から選ばれた芸人が何組か来てネタ見せをする形になりましたけど、ちょっと前までは毎月60組くらい見ていました。だいたい昼過ぎから途中休憩をはさんで夜までずっと若手のネタを見て、1組10分くらいかけてアドバイスをするんです。いや、ダメ出しなんてそんな大層なものじゃないですよ。何千組見たんだろう? 正確な数字はもうわからないですね(笑)。

 オーディションが始まる前に『僕はアドバイスするけど、取り入れるか取り入れないかは自由ですよ』って芸人さんたちに伝えるんです。だって上の人から意見を押し付けられるのって嫌じゃないですか(笑)。芸人はみんな『自分たちが一番面白い』って信じているわけですし。なので、明るく見せた方がいいとか、声のトーンを合わせた方がいいとか、客観的な意見を言うだけです。教えているなんて意識はないですよ」

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