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「金メダルを取れる」20歳のスノーボーダー・戸塚優斗が誓う北京五輪での活躍《スケボーの次はスノボー勢がアツい》
posted2021/12/06 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
KYODO
2022年北京冬季五輪の“顔”になると期待される20歳のスノーボーダーが、自信を深めて五輪シーズンを迎えている。昨季のスノーボード世界選手権とXゲームを制し、ワールドカップでも2戦2勝。主要大会で全勝した男子ハーフパイプの戸塚優斗(ヨネックス)が、11月上旬に開催された全日本スキー連盟の年間表彰で、ジャンプや複合のメダリストたちを抑えて最優秀選手に選ばれ、胸のすくようなスピーチをした。
「今季はオリンピックもそれ以外の大会も勝てるように頑張りたい」
穏やかな口調ながら言葉は強気そのもの。有言実行への強い覚悟が伝わる。自信を支えているのは無敵だった昨季の実績と、自他ともに認める伸びしろの大きさだ。昨季はそれまで苦手だったスイッチバックを完全に克服し、ルーティンの難度を上げることに成功した。これが世界の頂点につながったわけだが、技術的には今がまさに伸び盛り。まだまだ回転数を上げられると胸を張る。
スケートボードの勢いを受け継げるか?
北京五輪には五輪3大会を制したショーン・ホワイト(米国)が参戦予定。日本勢にも今夏の東京五輪でスケートボード・パークに出場した“二刀流”の平野歩夢がいる。平野も冬季五輪2大会連続銀メダルと実績は十分。さらには、'18年から'20年まで世界選手権3連覇のスコッティ・ジェームス(豪州)もいる。それでも誰もが金メダルの最右翼と疑わないのが戸塚。日本代表の治部忠重コーチは「技術センスや考え方が図抜けている」と評する。
平昌五輪では決勝で転倒して担架で運ばれた。結果は11位。「平昌では弱さを実感できた。場の空気に飲まれ、技術もメンタルも追いついていなかった」(戸塚)。だが、今は違う。「昨季の全試合で優勝できた分、プレッシャーや不安を感じることはあるが、自信はすごくある。自分の滑りができれば、金メダルを取れると思っている」と堂々たる受け答えをしている。
東京五輪では金メダルラッシュだった新競技のスケートボード勢が、五輪のイメージそのものを変えた感がある。戸塚が夏の新風をバトンタッチで受け継ぎ、冬の頂点に立つことができた時、五輪はどのような新しい光景をスポーツファンに見せてくれるか。楽しみでならない。