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「覚悟が決まりました」春輝つくしが“メチャクチャにやり散らかし”てアイスリボンのトップに 8度目挑戦でベルトを巻けた理由とは? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2021/11/23 11:00

「覚悟が決まりました」春輝つくしが“メチャクチャにやり散らかし”てアイスリボンのトップに 8度目挑戦でベルトを巻けた理由とは?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

ICE×∞新チャンピオンとなった春輝つくし(中央)と、対戦した藤本つかさ(右)、豊田真奈美(左)

相当なことをしなければ、つくしは藤本に勝てない

 アイスリボンの取締役選手代表である藤本は、つくしの再デビュー戦の相手を務めている。ともにタッグベルトを巻いたこともある。豊田がプロレス界でのつくしの母なら、藤本は姉。ずっと見守ってきたし、ベルトをかけて闘うことで“妹”の成長、独り立ちを確認したいという思いもあったはずだ。

「でも、それを言ってしまうと闘う者として対等な関係ではなくなってしまうじゃないですか。つくしは可愛い後輩だし頑張ってるのも分かるから報われてほしい。でも“それを言わせないで”って」

 藤本をはじめとする先輩レスラーや古くからのファンに“成長を見守られ”ているうちは、アイスリボンのトップには相応しくないということか。デビュー14年目、38歳の藤本は今年7度目のICE×∞戴冠を果たし、防衛ロードでも毎回、年間ベストバウト級の闘いを繰り広げてきた。10月のメキシコ遠征では「全盛期は40代でくるから」と言われモチベーションがさらに上がったという。藤本の充実ぶりを見ていると、相当なことをしなければつくしは勝てないだろうと思わされた。

「メチャクチャにやり散らかした」末の3カウント

 その“相当なこと”を、つくしはやった。近年は大人のレスラーとして巧みにコントロールしてきた容赦のなさを、ビッグマッチのメインで藤本相手に全開にする。ミサイルキックなど藤本と共通する得意技は必ずやり返した。張り手もやられた分だけ打ち返す。エルボーはといえばもともと大の得意。打突音も含めたその迫力は男子以上と言ってもいい。トペ・スイシーダを狙う藤本が場外に飛ぼうとした瞬間、リング下からイスをぶつける場面もあった。そのイスをつくしに投げ返した藤本もさすがだったが。

 豊田はつくしにジャパニーズ・オーシャン・スープレックス、藤本にジャパニーズ・オーシャン・サイクロンと必殺技を譲り渡した。豊田からもらった大事な技をどちらが決めるか、それも勝負のポイントだった。おそらく、先に決めたほうが勝つ。

 先に決めたのは藤本だった。しかしつくしは、この絶対的なフィニッシュ技をカウント2で返す。サイクロンを返したことで、つくしはこれまでとは違う領域に踏み込んだ。藤本に勝ってベルトを巻くために必要な領域へ。

 エルボーの連打で優位に立ったつくしは、藤本の得意技インフィニティを放つ。“掟破り”の攻撃は精神的動揺も誘えるものだ。が、つくしはこれを3連発。人の技を3連発というのは普通ではない。セオリーから外れていると言ってもいい。つまりメチャクチャにやり散らかした。その上でジャパニーズ・オーシャンを決め、ついに藤本から3カウントを奪った。

【次ページ】 「このベルトを巻くまで、本当に長かった」

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